初夏にとげのある種子をつける「メリケントキンソウ」が繁殖して困っています−。霧島市の男性が、こんな声を南日本新聞の「こちら373」に寄せた。鹿児島県が昨年11月、在来種に影響を及ぼす「外来動植物」に指定した一つ。県は生息域の拡大を警戒し、駆除時のけがに注意を呼び掛ける。
隼人町姫城の県道都城隼人線に沿う歩道脇の草地に、数十メートルにわたってメリケントキンソウが茂る。案内してくれた投稿者の南田信男さん(66)によると、3年前からあちこちで目にするようになった。
触るとけがをする恐れがある。南田さんは姫城で老人ホームを経営。敷地内に生えてくるメリケントキンソウを、毎年春に刈り払い機やガスバーナーで除去している。「今年も4月下旬に縦20センチ、横30センチのごみ袋で4袋分も取り除いた。うんざりする」。
霧島市によると、2015年度の初確認を皮切りに、学校や公園、民家などで生育がたびたび報告されている。
南米原産のキク科の一年生植物。高さ3〜20センチで、地面にはうように生える。秋ごろ発芽し、4〜5月ごろ結実して果実に25〜4-本のとげ(種子)ができる。2〜3ミリのとげは靴底やタイヤに刺さって運ばれ、生息域を広げる。
日本では1930年代に和歌山県で発見された。鹿児島県への侵入時期は不明だが、県によると、鹿児島市や志布志市、鹿屋市、屋久島町など少なくとも13市町で目撃情報がある。今年に入り、徳之島と奄美大島で初めて生育が確認された。
県自然保護課は、ホームページで駆除方法を紹介。とげができる前の2月中旬〜3月や、株の中心部が結実する前の11月下旬〜12月が駆除に適している。根が残らないよう、抜き取りか除草剤が有効という。とげに除草剤は効きにくく、初夏に作業する場合は安全のため革手袋を着用し、落ちたとげはできるだけ回収するよう促す。
担当者は「気づいていないだけで、生息域が広がっている可能性がある。見かけたら情報を寄せてほしい」とした。
+Yahoo!ニュース-地域-南日本新聞