国内最大級しのぐ外来バッタ、高校生が発見…専門家「監視続ける必要」

 神戸市立六甲アイランド高校(東灘区)の生徒らが、同市内で国内未確認だった外来種のバッタを発見し、昆虫専門誌「月刊むし」1月号に論文が掲載された。東南アジアを中心に生息する農業害虫で、環境省や神戸市は念のため、監視の目を光らせるという。(諏訪智史)


 発見されたのは、バッタ科ツチイナゴ亜科に属する外来種(学名・Chondracris rosea)。中国やパキスタンなどに広く分布するが、国内では未確認だった。
 全長は雄が50〜65ミリ、雌が65〜90ミリ程度。国内最大級のショウリョウバッタよりやや大きい。海外では、イネやサトウキビなどに被害を与える虫として知られる。
 同高校の自然科学研究部の顧問教諭2人と生徒3人が昨年8月28日夕、学校近くの池の水質調査をした帰り道、歩道脇の草むらに体長約80ミリの大きなバッタがいるのを見つけた。持っていた網で捕らえ、スマートフォンで撮影した後、逃げてしまったという。
 顧問の岩本哲人教諭(65)が、同校で特別講義を担当する生態学が専門の横川忠司博士(44)(尼崎市)に撮影画像を見せて調査を依頼。横川さんは国内外の文献にあたったり、複数の専門家に意見を聞いたりした上で、国内未確認の外来種と確認したという。
 発見場所は神戸港のコンテナヤードから約300メートルしか離れておらず、横川さんは「海外から船のコンテナに紛れて運ばれてきた可能性が高い」と分析する。
 1年生部員の女子生徒(16)は「今まで見たどのバッタより大きく、目の形も独特で、直感的に外来種と感じた。日本にいない種を見つけられてうれしい」と喜んでいる。
 一方、学校から報告を受けた神戸市環境局は「今回のケース以外に発見されたとの報告はないが、環境省と連携し、情報収集を進めたい」とする。
 環境省によると、生態系に被害を及ぼす恐れのある「特定外来生物」に指定されている昆虫は25種類。2017年に神戸港で荷揚げされたコンテナ内で初めて見つかった南米原産の「ヒアリ」などが含まれるが、バッタ科の指定はない。
 女子生徒らは「標本にできなかったのが悔やまれる」と話しており、現場周辺の調査を続けている。
 大阪市立自然史博物館の松本吏樹郎(りきお)・主任学芸員(昆虫学)の話「中国や台湾では普通に見られるが、国内で見つかった記録はなく、外来種の侵入を知らせる貴重な成果だ。国内で繁殖する可能性がないとは言えず、念のため監視は続ける必要がある」
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