鹿児島県徳之島地区で外来水草“侵略”が顕著化

 【徳之島】鹿児島県の徳之島地区ではこのところ、徳之島ダムをはじめとする農業用ため池、湧水池などの一部で、特定外来生物など外来水草が繁殖し拡大傾向が顕著化している。駆除作業が「手に負えないイタチごっこ状態」の民有地。行政施策による官民一体の取り組みも求められている。


 国営かんがい排水事業で2017年度に完成した徳之島ダム(天城町、有効貯水量730万トン)には昨年、環境省の「生態系被害防止外来種リスト」で生態系に影響を及ぼす可能性がある「重点対策外来種」に指定されているホテイアオイが侵入。同ダム管理団体(徳之島用水土地改良区)は、簡易除去装置の製作を依頼するなど駆除対策を進めている。
 同ダム湖面のほか、新たに外来水草の繁殖が目立つのは徳之島町北部地区にある古来の湧水池(民有地)と、天城町天城にある農業用ため池の「上名道池」だ。
 湧水池は、国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」にも含まれるホテイアオイと、環境省指定の特定外来生物ボタンウキクサが混在。所有者によると、ボタンウキクサは約20年前、知人が一握りの株を投入したのが始まり。個人的に除去作業を行っているが、取り残しの小株が再繁殖する「イタチごっこ」に苦心していた。
 行政的手立てなど支援について、徳之島町企画課(世界自然遺産・自然保護担当)は、地域のスポーツ少年団など対象の自然環境学習・自然保護体験と併せた駆除作業を来年度計画するという。天城町「上名道池」(最長約70メートル×幅約50メートル)について町当局(農地整備課)は、繁殖拡大が進むことによる「水質の悪化や取水口の目詰まり」など実害を懸念。地域単位の農用施設愛護など水土里(みどり)サークル活動(多面的機能支払交付金)事業を活用した駆除も検討するという。
 ホテイアオイ(ミズアオイ科、南アメリカ原産)は別名ウオーターヒヤシンスとも呼ばれ、ボタンウキクサ(サトイモ科、アフリカ原産)はウオーターレタスとも。家庭などで観賞用に栽培されていたものが野生化したとみられる。
 県内最大の「鶴田ダム」(さつま町)では除去費用が年間1億5千万円以上とみられるなど、全国的な問題となっている。
+Yahoo!ニュース-地域-奄美新聞社