琵琶湖北湖で貧酸素状態が深刻化 上下層の水が混ざる「全層循環」未発生が原因か

 琵琶湖北湖の「第一湖盆」の水深70メートルにおける底層溶存酸素(底層DO)が今冬、生物への影響が懸念される水1リットル当たり2ミリグラムを下回っていることが、滋賀県の調査で分かった。今年8月に水深90メートルで同2ミリグラム以下を記録して以降、酸素の少ない状態が、より上層部へと広がりを見せている。県琵琶湖保全再生課は15日に調査結果を公表すると共に「気候変動の危機が近づいているサインだと受け止め、注視していく必要がある」と警戒感を示した。


 1979年の調査開始以来、今津沖の第一湖盆の水深70メートルで同2ミリグラムを下回るのは初めて。更に、比良沖の「第二湖盆」の水深75メートルでも初めて同2ミリグラムを下回った。第一と第二湖盆の水深70メートルの湖底の面積は、琵琶湖全体の約24%に上る。
 12月7日の調査で、底層DOが水1リットル当たり2ミリグラムを下回ったのは、第一湖盆の水深90メートル(同0・5ミリグラム未満)▽80メートル(同0・5ミリグラム未満)▽70メートル(同1・6ミリグラム)▽第二湖盆の水深75メートル(同1・8ミリグラム)――の計5カ所。同2ミリグラムを下回ると「貧酸素状態」、計測できる最小値の同0・5ミリグラム未満の場合は「無酸素状態」に当たる。
 同課は、琵琶湖の表層の水と下層の水が完全に混ざり合う「全層循環」が2年連続で起きていないことが原因とみている。
 また、11月24日に今津沖中央の水深90メートルで実施した水質調査では、酸素が少なくなると湖底から溶け出すマンガンに関し、過去最高の1リットル当たり1・57ミリグラム検出。水深85メートルより深いところではヒ素(砒素)も最大0・015ミリグラム検出された。基準値の同0・01ミリグラムを超えたが、検出された場所が最深部の一部であり、多くのイサザやスジエビは水深50メートルを中心に生息していることから、生活用水や漁業には影響ないとしている。
 同課の担当者は湖底の水温が例年より2度ほど高く、全層循環が起こりやすい状況だと指摘した上で、「低酸素状態の広がりを確認するため、水深60〜70メートルの底層DOを重点的に調査していく」と話した。【諸隈美紗稀】
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