外来種ツマアカスズメバチ 羽音で巣特定 ミツバチ保護へアプリ開発視野 長崎・佐世保高専

 長崎県の佐世保工業高等専門学校は、在来のミツバチを捕食する外来種ツマアカスズメバチの駆除に向け、巣を見つけるシステムの開発を進めている。複数のセンサーを設置して羽音を特定し、蜂を追跡する。生物のモニタリング(監視)で、音を活用した技術の実用化は国内初という。


 ツマアカスズメバチは中国などが原産の特定外来生物。働き蜂の体長は約2センチで、全体的に黒っぽく、腹部の先端はオレンジだ。養蜂や授粉用のミツバチなどを捕食するため、農業や生態系に影響を及ぼす。国内では長崎県対馬市で2012年に初確認され、既に定着した。福岡、大分、宮崎の3県でも確認。本州に侵入する恐れもあり、警戒が必要となっている。
ツマアカスズメバチの羽音を解析する佐世保高専の学生ら(長崎県佐世保市で)
 ツマアカスズメバチの駆除に役立つシステムの研究は、同校のプロジェクトチームが5月から始めた。蜂の種類によって異なる羽音に着目してツマアカスズメバチの羽音の周波数を調べると、在来のニホンミツバチと大きく異なっていた。
 そこで、ツマアカスズメバチが確認された地域に、複数のセンサーを置いて羽音を集め始めた。羽音によってどこからどこへ飛んでいくのか方向を明らかにし、巣の位置を特定する。
 羽音のデータの送信には、消費電力が少なく長距離通信ができる無線技術「LPWA」を使う。プロジェクトリーダーの道上竣介さん(20)は「山の中でも通信するため、今後は最適なセンサーの製作や設置する間隔を検討していく」と説明する。
 22年3月までに地図上に巣の場所を表示するアプリの開発を目指す。蜂の駆除業者や養蜂家などの利用を想定するが、同校電気電子工学科の猪原武士講師は「技術を応用すれば、他の害虫だけでなく、イノシシの鼻息や鹿の足音などを使って、害獣の追跡も可能だろう」と期待する。
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