環境省は15日までに、鹿児島県奄美大島で進める特定外来生物マングースの防除事業の2019年度実績をまとめた。わなや探索犬による捕獲はなく、島内全域に設置した自動撮影カメラでも生息は確認されなかった。本格的な駆除が始まった2000年度以降で捕獲がゼロになるのは初めて。同省は「全島からの完全排除に向け大きく前進した」と手応えを示した。20年度は残った個体がいないかどうかを確認するため、住民からの目撃情報の収集を強化する方針。
奄美大島のマングースは1979年にハブやネズミの駆除を目的に放され、急速に分布域を拡大。アマミノクロウサギなどの在来生物を捕食して生態系に深刻な影響を及ぼした。環境省は駆除に着手後、05年度には捕獲を担う「奄美マングースバスターズ」を配置し、防除事業を進めた。
捕獲数は01年度まで3000匹以上に上ったが、駆除が進んで生息密度は次第に低下。14年度以降は100匹以下で推移し、17年度10匹、18年度1匹と減少が続いた。ピーク時に約1万匹としていた推定生息数は、18年度末に10匹以下に引き下げた。捕獲総数は約3万2000匹。
19年度実績報告によると、奄美大島では18年4月に1匹が捕獲されて以降、約2年にわたって捕獲のない状態が続いた。環境省は「継続的にマングースが減少しており、現在の生息数は極めて少ない状態になっている」と分析。防除の効果で、アマミトゲネズミやケナガネズミ、アマミイシカワガエルなど希少種の生息状況が回復傾向にあると評価した。
20年度はわなの設置や探索犬による生息情報の収集など広域的な防除体制を継続。マングースの「根絶宣言」に向けて、モニタリング調査のデータに基づいた根絶を確認する手法の検討を進める。
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