農作物や住宅に被害を出しているアライグマが、和歌山県の旧田辺市内で2019年度に471匹捕獲された。捕獲数が400匹を超えるのは4年連続。アライグマの調査を続ける田辺市ふるさと自然公園センターの鈴木和男さんは「農業関係者らの捕獲努力によって生息数の急増は回避できているが、依然増加傾向にある」と指摘している。
調査によると、02年度の捕獲数は67匹だったが、03年度に138匹となり、09年度に200匹となった。さらに15年度には299匹を数え、16年度からは426匹、489匹、406匹、471匹と高止まりしている。
また、出生数を反映する0歳と1歳の捕獲数は増加傾向にある。19年度では雄が235匹、雌が129匹と全体の8割近くを占めた。
生息数を低下させるには、出生数を減少させる必要があり、そのためには成獣雌の捕獲が欠かせないとしている。しかし、繁殖可能な1歳以上の成獣雌の捕獲は全体の4分の1程度にとどまり、十分とは言えないという。
鈴木さんは「アライグマは生まれた翌年から出産可能な動物。現状の捕獲努力を維持し、地域の皆さんに協力してもらって目撃情報を雌の捕獲実績につなげる取り組みが必要」と話している。
アライグマ 北米原産。頭胴長40〜60センチほど。白い顔に黒色のマスクを着けたような外見、長いふさふさとした尾にある黒いしま模様が特徴。1970年代以降、ペットとして国内に持ち込まれものが逃げたり、捨てられたりするなどして野生化。その後、農作物を食い荒らしたり、家屋に侵入したりする被害が相次いでいる。感染症の問題もある。外来生物法で特定外来生物に指定されている。
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