琵琶湖が低酸素状態、生態に悪影響恐れ 強風吹かなかったため?過去最速で基準下回る

 2年連続で「全層循環」の完了が確認されなかった琵琶湖について、滋賀県は25日、北湖に位置する水深約90メートルの第一湖盆で今月17日に、1979年の調査開始以降、最も早い時期に基準を下回る低酸素状態になったと発表した。低酸素状態が長引けば、生物の生態に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、監視を強化する。


 酸素濃度の基準値(水1リットル当たり2ミリグラム)を下回るのは例年10〜12月が多いが、2012年度と昨年度はこれまでで最も早い8月27日に下回り、今年はさらに10日早まった。県によると、17日に実施した水質調査で、79年から観測を続けている基準点を含む、第一湖盆の7地点のうち2地点の酸素濃度が基準値を下回り、最も低かったのはE点の1・4ミリグラムだった。
 原因として、全層循環が完了しなかったため、酸素濃度の低下が例年よりも低い状態から始まったことや、春以降に湖底付近の水をかき混ぜるような強風が吹かなかったことなどが考えられるという。現時点で生態への影響は限定的と見られ、水質に大きな変化は確認できないとするが、県琵琶湖保全再生課は「基準を下回る時期が早まったため、今後、水深の浅いところまで低酸素状態が広がることも考えられる」と懸念する。
 琵琶湖環境科学研究センターが近く水中ロボットによる湖底生物の調査を実施し、酸素濃度の調査頻度も増やすという。
 全層循環は、冬場の冷え込みで酸素を多く含む表層の水が比重を増し、底層の水と混ざり合う現象で、生態系の維持に不可欠とされる。初めて観測できなかった昨冬に引き続き、今冬も確認できなかった。
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