外来カメムシ北上 シタベニハゴロモ、かほくで初確認

 外来種のカメムシ「シタベニハゴロモ」が6日までに、かほく市内で初めて生息が確認された。県自然史資料館(金沢市)や県ふれあい昆虫館(白山市)によると、県内では最北の確認となる。国内では2009年に小松市で初めて定着が確認されている。ブドウの生育不全を起こすことも明らかになっており、一大産地を抱える同市にとっては悩みの種となりそうだ。専門家はさらなる北上を懸念している。


 7月13日、水田義和さん(43)が、自身が勤務するデイザービス暖(かほく市高松)の近くで、木の枝に大量の幼虫がいるのを見つけた。その後、県自然史資料館や県ふれあい昆虫館に写真を提供し、シタベニハゴロモの幼虫と判明。今月上旬、成虫になったという。
 シタベニハゴロモは、09年の小松市を皮切りに、福井県や大阪府などで確認された。13年には能美市と加賀市で定着が確認され、15年に白山市内や金沢の中心市街地、昨年10月には内灘町でも見つかっている。
 樹液を吸って木を枯らしてしまうほか、排せつ物が周辺の植物に掛かると葉が黒ずむ「スス病」を発生させるという。県内では農作物の被害は確認されていないものの、小松市では街路樹のシンジュが枯れる被害が発生した。海外ではブドウやモモなど農産物への食害も報告されている。
 1回に30〜40個の卵を産み付けるために繁殖力は強く、昆虫館の石川卓弥学芸員は「一般的に外来種は天敵が少なく、それも分布拡大の要因になっているのではないか」と分析する。
 県自然史資料館の嶋田敬介学芸員はDNA分析から県内のシタベニハゴロモの起源を調べ、分布拡大の原因を分析しているが、DNAの配列を読み取るのが難しく、対策が進まない状況だ。「このまま分布が広がると、果樹などに影響が出る可能性がある。目立った被害が出ないうちに対策を講じたい」と話している。
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