外来カミキリの被害、県内12市町に拡大 環境科学国際センターが状況を調査、県民へ協力を呼び掛け

 特定外来生物の「クビアカツヤカミキリ」によるサクラなどの樹木への被害が県内で拡大している。埼玉県環境科学国際センター(加須市)の調査によると、2019年度には11市1町の206カ所で確認され、18年度の8市128カ所から約1・6倍の増加となった。同センターは「被害拡大を防ぐには早期発見、早期防除が不可欠」として樹木への被害状況を調査する「クビアカウォッチャーズ」の募集を開始、本格的な情報収集に当たる。同様の手法による調査は今回で3年目となる。


 クビアカツヤカミキリの幼虫は木を摂食し、木くずとふんが混ざった「フラス」を排出する。フラスとともに木の中の成分を外に出してしまうため、樹体が枯死することもある。
 同センターなどによると、クビアカツヤカミキリは18年に特定外来生物に指定された。成虫の体長は25〜40ミリ程度。雌の成虫は樹皮の割れ目に産卵し、卵を千個近く産むこともある。幼虫はサクラやウメ、スモモなど主にバラ科の生木を好んで摂食する。幼虫の活動期は春から秋となる。
 クビアカツヤカミキリによる樹木への被害は、19年度末までに11都府県で確認されている。県内では13年に草加市と八潮市で初めて被害が判明した。同センターは18年度から「クビアカツヤカミキリ発見大調査」を実施している。
 19年度に被害が確認された738本の樹木のうち、約9割の661本がサクラだった。市町村別の被害確認箇所数は、熊谷市の69カ所が最多で、行田市が46カ所、草加市が44カ所で続くなど、県北部と南東部で被害が発生。成虫は飛ぶため、被害エリアが広がっているとみられる。
 本年度の大調査は、8月31日までを集中調査期間として実施。参加者に県内の公園や河川敷、学校などに植えられているサクラを中心に状況の確認を求める。河川沿いのサクラ並木は、特に被害が拡大している可能性があるとして注視を促す。ウメやモモ、スモモなどのバラ科の樹木に関する情報も受け付ける。
 クビアカツヤカミキリの成虫や排出されたフラスを確認したら、メールまたは郵送で同センターに報告を求める。市町村や管理者への報告でも可。調査の参加に関する事前登録は不要。
 同センターは「県民の協力なくして、被害の全体像の把握は難しい。自宅周辺の散歩の際にはサクラの木に目を向けてもらうなどして、成虫や被害を見つけたら知らせてほしい」と呼び掛けている。寄せられた情報は被害対策に活用する。
 問い合わせは、同センター(電話0480・73・8331)へ。
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