沖永良部島の生態系保全へ 環境省が外来種被害予防啓発冊子

 環境省はこのほど、奄美群島国立公園に指定されている鹿児島県沖永良部島の沖泊海浜公園(知名町)の外来植物被害予防を啓発するリーフレット「沖泊外来植物ブラックリスト」を発行した。同公園に生育する外来植物20種と、その分布を紹介し、同島の自然を守るために外来種を「入れない」「捨てない」「拡げない」という意識を持つ大切さを伝えている。


 環境省の「国立公園等民間活用特定自然環境保全活動(グリーンワーカー)事業」の一環。地域住民らが2018〜19年度、同公園で外来植物の生育分布を調査した結果を基に作成した。
 リーフレットではハイシロノセンダングサやナピアグラス、コマツヨイグサなどの外来植物を写真とともに紹介。公園とその周辺を「旧キャンプ場」や「遊歩道」など7エリアに分け、エリア別の外来植物の分布をマップにまとめた。
 調査などを担当したえらぶ郷土研究会会員の新納忠人さん(77)は「沖泊ではヤエヤマハマナツメやハスノハギリなど在来の植物があるが、外来植物の繁殖が生態系に影響を与えている」と警鐘を鳴らす。
 編集にも協力した知名町地域おこし協力隊の釜優貴美さん(40)は「植物に詳しくない人にも分かってもらえるよう、専門用語を減らすなど解説を工夫した。ハイシロノセンダングサの果実は『ひっつき虫』です」と話していた。
 同省奄美群島国立公園管理事務所の千葉康人国立公園管理官は「島民にリーフレットで外来種の問題があることを知っていただき、地域の自然環境に目を向けてもらいたい」と期待を寄せた。
 A5判カラー、8ページ。発行部数は500部。4月中をめどに沖泊公園周辺の田皆集落の全世帯や田皆小中学校へ配布する予定。
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