日本にもジワリ侵入“スーパー・トコジラミ”に刺されたら…

 新型コロナウイルスはもちろん怖いが、他にも注意すべき“敵”がいる。その名は「トコジラミ」。ナンキンムシとも言い、人間の血を吸う吸血昆虫だ。しかし、戦後のDDT散布など強力な殺虫剤のおかげで日本では撲滅されたはずでは……。


「実は、2005年ごろから、既存の薬剤に抵抗性を持つ“スーパー・トコジラミ”が欧米やアジアなどで同時多発的に発生し、日本にもじわじわと侵入して来ているのです」と話すのは、害虫の生態に詳しいアース製薬生物研究課の有吉立さんだ。
 トコジラミの運び屋になっているのは、ズバリ旅行者。スーツケースの車輪や靴底の隙間などに忍び込み、やすやすと国境を越える。そして、滞在したホテルや旅館にすみ着き、繁殖してしまうのだ。
 もちろん、金属探知機には反応しない。発熱の有無などでチェックできる新型コロナウイルスより見つけるのは難しいかも。有吉さんに詳しく教えてもらった。
「何カ月も血を吸わなくても生き延びますし、寒さにも結構強い。厄介なのは、明るいうちはベッドなどの隙間の中に隠れて出てこないこと。暗くなると這い出して来て、15分ほど血を吸うと、また隠れてしまう。とても見つけづらいんです」
 ウイルスなどは媒介しないが、噛まれると、もの凄くかゆいという。どう対処すればいいのか?
「まず、壁の隙間やカーテンの裏に赤い“血糞”がついていないかをチェックすること。心配なら電気をつけてアイマスクなどをして寝るといい。明るいと出てこないからです」
 もし刺されたら、トコジラミなのかダニなのか把握することが大事だ。効く殺虫剤が全く違うからだ。両者の違いだが、まずは大きさ。ダニはほとんど肉眼では見えないほど小さいが、トコジラミは成虫で5〜6mmと比較的大きいので目で確認可能。
 刺す場所も異なる。ダニは体の柔らかい場所、例えばお腹などを主に刺すが、トコジラミは肌が露出する場所、例えば首や手首を集中して襲うという。
「とにかく家に持ち帰らないこと。衛生状態の良い高級ホテルなどでも油断は禁物です。部屋ではスーツケースを開けっ放しにしない。映画館も常に暗い場所なので注意が必要です」
 トコジラミの活動が活発になるのは気温が25度以上になる6〜9月。まさにオリンピックシーズン真っ只中だ。
 インバウンドも急増する時期、トコジラミへの警戒レベルもMAXにして備えたい。
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