◇あす厚岸町で対策検討委
陸上自衛隊矢臼別演習場(釧路管内厚岸町など3町)内の別寒辺牛川支流の砂防ダム建設問題で、「土砂流出対策等検討委員会」(委員長・新谷融北大名誉教授)の第8回会合が27日、厚岸町で開かれる。事務局の札幌防衛施設局と同町はダム1基に、絶滅危惧(きぐ)種の淡水魚イトウが遡上(そじょう)するための切り込みを入れることを柱とした答申案を提出、同委員会はこれに基づいて意見を集約し、年内にも最終報告をまとめる。
答申案では、ほぼ完成済みのダム1基(高さ約5メートル、幅約220メートル)について、中心部に幅約2メートルの切れ込みを入れるとともに、未着工のダム2基の建設を凍結。上流部の緑化作業を進めることで、土砂流出防止を図る。
委員の1人は「ダム撤去の意見もあったが、土台を取り除くために川底を破壊しなくてはならず、生態系に大きな影響が出てしまう。将来的にはダムの高さを水面以下にまで削って、イトウの遡上を妨げないようにさらに改修することもあり得る」と話している。
砂防ダムは、在日米軍の実弾演習の同演習場受け入れに伴い、防衛施設庁が厚岸町に委託して00年度から建設を開始。場内からの土砂流出を避けるのが目的で、中流域に3基を建設する予定だった。しかし、上流で産卵・ふ化し、中下流で成長するイトウの繁殖に影響が出るとして、自然保護団体などから反対の声が上がり、同局は03年春に建設を一時凍結。計画を再検討するために同委員会を設置した。【岸本悠】
9月26日朝刊
(毎日新聞)