2005年05月12日

採卵量がた落ちで出荷ゼロ 諏訪湖産ワカサギの卵

 【長野県】全国の湖沼に放流され、主要供給地となっている諏訪湖産ワカサギの採卵量が、2年連続で大幅に減少。諏訪湖漁協は今年、各地からの注文を断り、1987(昭和62)年以来の「出荷ゼロ」に追い込まれた。採卵量の減少は「えさとなるユスリカの激減が要因」と、成果を挙げつつある諏訪湖浄化の影響を指摘する見方もある。 (福沢 幸光)

 ワカサギの採卵は毎年2月末-5月上旬、諏訪湖に流入する5河川の河口付近に仕掛けを設け、産卵のため遡上(そじょう)するワカサギを捕獲。例年40-50億粒を採卵し、ほぼ半分を諏訪湖に放流、残りは全国へ出荷していた。

 今年の採卵は5月上旬に終了したが、採卵量は11億400万粒と、昨年の26億5000万粒の半分以下。一昨年は例年並みの45億粒を採卵しており、2年続きの大幅減となった。

 今年は遡上の時期も遅れ、ピークになるはずの4月上旬の採卵量は例年の1割。この時点で、全国165カ所の湖沼から注文のあった計20万粒は出荷できないと判断した。その後、採卵量は伸びたが、諏訪湖への放流にも足りず、北海道産など約3億粒を“逆輸入”する異例の事態だ。

 県水産試験場諏訪支場(下諏訪町)は、昨年12月の計測で体長6センチ、体重1.6グラムのワカサギが、今年1月には同じ体長で1.2グラムだったことを挙げ「えさがなくなる冬季に備え、秋に発生するアカムシユスリカを食べ、栄養を蓄える。体重が減るほどエネルギーが足りず、卵も成熟できなかったのではないか」と指摘する。

 信州大山地水環境教育研究センター(諏訪市)によると、諏訪湖のアカムシユスリカは、春から夏にかけて発生するオオユスリカとともに、98年から目立って減少。湖の浄化が進み、植物プランクトンのアオコが少なくなったことと関係するという。

 諏訪湖漁協の中沢章組合長は「採卵事業は大きな収入源で、出荷できないのは痛手。えさが少なくなっているのなら、補う対策も考えないといけない」と話している。
(中日新聞)

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Posted by DODGE at 2005年05月12日 10:51 in 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連

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