2005年05月12日

琵琶湖のセタシジミ復活へ漁場整備 草津市沖で水草刈り稚貝放流へ

 漁獲量が激減した琵琶湖の固有種セタシジミを復活させようと、滋賀県は16日から草津市沖で本格的な漁場整備に乗り出す。大量に繁茂して生育の障害となっている水草を刈り取って環境を整え、稚貝約10億個を放流、4年後をめどに約30トンまで育てる。
 漁場は同市志那町の湖岸から約200メートル沖の約40ヘクタール。現在もシジミ漁を続ける堅田漁協(大津市)と山田漁協(草津市)の協力を得て、16日に外来種の水草オオカナダモを除去する。6月には県水産試験場で育てた直径0.2ミリの稚貝を放流する。

 県内で古くから親しまれているセタシジミの漁獲量は、1957年に6072トンあった。しかし、60年代以降、田畑から湖に除草剤が流れ込んだり、護岸工事により湖への砂利の流入が減るなど生息環境が悪化し、2003年はわずか233トンに落ち込んだ。最盛期に約700ヘクタールあった漁場面積は、現在ゼロに近いという。
 さらに南湖では、94年の渇水以降、オオカナダモが繁殖した。冬も枯れないため常に水流が妨げられ、湖底に泥が積もって酸素濃度が低下し、セタシジミの生息が困難になった。
 他のシジミと違い、セタシジミは稚貝の時期に水中を浮遊しながら広い水域を移動できないため、いったん漁場が失われると人工的に復元するしかないという。
 県は10億個の稚貝のうち、繁殖可能な大きさまで育つのは1%と予測する。放流時の直径が小さく、湖底にすむイトミミズに食べられるためだ。県水産課は「今後、放流時の稚貝を人工的に直径0.5ミリ程度まで育てる技術を研究して生存率を高め、来年度以降の漁場拡大につなげたい」としている。
(京都新聞)

+Yahoo!ニュース-滋賀-京都新聞

Posted by DODGE at 2005年05月12日 10:47 in 自然環境関連

mark-aa.jpg