立田山(熊本市)南麓にある森林総合研究所九州支所は18日までに、支所の敷地で特定外来生物のアライグマの映像を撮影した。立田山でのアライグマの確認は初めてという。同支所は生態系への悪影響や感染症の媒介を懸念し「餌をあげたり、手を出したりしないでほしい」と呼びかける。
アライグマは北米原産の哺乳類。ペットとして輸入されたものが全国で野生化した。雑食で環境適応力と繁殖力が強い。熊本県内では県北を中心に各地で確認されている。
支所の敷地内で映像が撮影されたのは、3日午後10時46分ごろ。成体とみられる性別不明の1匹が写っていた。
同支所の森林動物研究グループ長、安田雅俊さん(56)は「アライグマが立田山で繁殖した場合、鳥類や、カエルの仲間などの生息に影響する可能性がある」と懸念。住宅地に囲まれた立田山は生物の出入りが難しく、生態系が大きく変わる恐れがある。
県によると、本年度は9月末までに県内で82件(複数匹含む)が確認され、うち26匹を捕獲し殺処分した。安田さんは「アライグマは人に感染する病気を持っている可能性もある。見かけたら、県や近くの自治体に報告してほしい」と話した。(石井颯悟)