立山の生物多様性を守るため、外来植物を減らす活動が長年続けられている。10日は、11日の「山の日」を前にボランティアら92人が室堂で除去作業に励んだ。これまでの成果で一部の品種は減少したものの、十分に取り除けなかったり、新たに増えたりした種もある。専門家は除去に加え、侵入を防ぐ取り組みの重要性を指摘する。
10日に行われた除去活動は、県が「とやまの山岳環境保全ボランティア」と題して毎年実施し、今回が9回目。参加者はナチュラリストの指導を受けながら、室堂平の遊歩道周辺でイタドリなどの外来植物6296本を除去した。
高岡市福岡中学校1年の宮村侑醍(ゆうだい)さんは「外来植物は想像より多く、在来種を傷つけないよう作業するのが難しかった」と話した。
講師で参加した県自然保護協会の大宮徹副理事長(65)によると、除去活動によって、セイヨウタンポポやフランスギクが大幅に減少するなどの成果が出ているという。
一方、除去しきれない外来植物もあり、室堂ではイタドリが最も多く見られる。県立山自然保護センターの集計では、除去数は過去10年間高止まりしており、2023年は約4万66千本だった。
周辺の植物を傷つける恐れがあるため、根元から引き抜くことができず、茎を切断して徐々に弱らせるため、大きい株では除去完了まで20年以上かかるという。また、近年はゴマナなど在来種との判別が難しい外来植物が増えている。
大宮副理事長は「除去だけでなく、侵入を防ぐ取り組みが重要」と指摘。「外来植物は旅行者の靴の裏に付着し侵入することが多い。山に入る際は必ず靴を洗ってほしい」と呼びかけた。