新利根川に「侵略植物」 ナガエツルノゲイトウ 稲敷・河内 農家苦悩、駆除費を助成 茨城

 特定外来生物のナガエツルノゲイトウが、新利根川や霞ケ浦などで生息域を広げている。繁殖力の高さから「史上最悪の侵略的植物」と呼ばれており、茨城県河内町では川面を覆うほど群生。すでに水田の一部に侵入し、コメ農家の悩みの種となっている。水路の目詰まりなどを引き起こす恐れもあり、同県稲敷市や同町は駆除費の助成を始めた。

 国立環境研究所(同県つくば市)によると、ナガエツルノゲイトウは1989年に兵庫県で初めて見つかり、現在は25都府県で生息が確認されている。南米原産で河川や池で大群落を形成し、茎はちぎれやすく、断片から活発に再生するため拡散しやすい。水陸両生であぜ道や畑にも侵入し、乾燥にも強いという。

 国や県によると、県内では2011年に新利根川と霞ケ浦で初めて見つかった。現在は常陸利根川、北浦などでも生息が確認されている。

 新利根川が流れる河内町ではこの時季、川に架かる橋の橋脚や川岸で、水面に沿ってナガエツルノゲイトウの群生が広がる。いずれも上流から流されてきた断片が再生し、爆発的に繁殖したとみられる。

 同町生板で農業法人を営む野沢拓哉さん(37)は「4~5年前、気付いたら水田に入り込んでいた。田んぼの蛇口にネットをかけたり、除草剤を使ったりしているが、手間や費用がかかり、苦労している」と明かす。新利根川から水田に水を引いているため「行政には大本の新利根川での繁殖を何とかしてほしい」と切実な声を上げた。

 下流の稲敷市でも水田の一部で生息を確認。市は繁殖や農業被害の拡大を防ぐため、今春から新利根川や霞ケ浦の水門・樋門(ひもん)の計9カ所に防除フェンスを設置している。

 同フェンス設置に先立つ23年11月には、新利根川流域の龍ケ崎、稲敷、河内、利根の4市町と国、県が合同で駆除活動を実施し14トンを除去。「新利根川流域ナガエツルノゲイトウ等対策協議会」も設立し防除対策に当たっている。

 このうち、稲敷市と河内町は本年度、市内農地で駆除対策を実施した農家などを対象に、除草剤購入費に対する助成制度を始めた。

 県は「自治体や国と連携して駆除や対策に取り組んでいきたい」としている。

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