千葉県印旛沼周辺で繁殖する特定外来生物のカミツキガメの根絶に向けて、県は2022年度のわなによる捕獲事業を始めた。20日、佐倉市の農業水路に仕掛けたわなを本年度初めて回収して6匹を捕獲した。亀の活動期である6、7月に、わなによる捕獲を集中的に行う。
北米などに生息するカミツキガメは、ペット用に輸入されたものが野外に放され定着したとみられる。かまれればけがをする恐れがあり、水田のあぜに穴を開けるなど農業にも被害を及ぼす。特に同県佐倉市、印西市などの印旛沼水系で大量に繁殖。県の推計でピークの15年度には約8800匹が生息していたとみられる。
国が05年に特定外来生物に指定したのを踏まえ、07年度に県の捕獲事業が始まった。21年度の県内の捕獲数は計1456匹。県の事業による捕獲が9割を占め、1割が市町村や警察による捕獲だ。過去最多だった18年度の2259匹に対し、ここ数年は3割ほど少なく推移する。わなの改良や適期の捕獲など事業の成果で、生息数が減っていることを反映しているもようだ。
捕獲事業は通年で行っており、本年度は1370匹以上が目標だ。わなによる捕獲時期は5~9月で、18日のわな設置から始まった。佐倉市を流れる鹿島川沿いの水路に、わな15基を数十メートル置きに仕掛けた。
わなは一般的な漁具「もんどり」を改良したもので、サバの頭を餌に水路に沈め、においでおびき寄せる。20日の回収では雄4匹、雌2匹を捕獲。甲羅の長さは16~23センチだった。
県自然保護課生物多様性センターは「外来生物の対策では、少し減ったからと、捕まえるのをやめると戻るのはもっと早い」と警戒、引き続き捕獲に力を注いでいく考えを示した。