猿払でイトウ大量死 記録的高温、渇水で酸欠か

保護団体「初めて見る光景」
【猿払】宗谷管内猿払村を流れる猿払川水系で、絶滅危惧種の淡水魚イトウの死骸が多数発見されている。記録的な高温と雨不足による川の渇水で酸欠死したとみられ、保護活動に長年取り組む地元有志も「初めて見る光景」と懸念を強めている。

 鬱蒼(うっそう)とした河畔林に囲まれた中流域。今月18日、「猿払イトウの会」の川原満さん(51)が、水中に白骨化したイトウの頭部を見つけた。付近にはヒグマかキツネに食べられた後のイトウの背骨やあごが散乱していた。

今月上旬以降、計40匹の死骸

 川原さんは今月上旬以降、計40匹ほどの死骸を確認している。「川岸一帯に腐臭が漂い、調査歴15年でも初めての光景。ショックでした」。1メートルを超える巨体が川底に沈んでいたこともあり、国内最大級の淡水魚イトウの変わり果てた姿が痛ましかった。「生き残ったイトウも弱っている様子だ」と心配する。

 イトウは河川環境の変化に弱い。稚内地方気象台によると、猿払村浜鬼志別の観測所が今月7日、1979年の統計開始以降、2番目に高い31・5度を記録。今年7月の降水量も2番目に少ない8・5ミリ。7月以降、イトウがすむ川の水温は強い日差しで上昇し、水量は激減していた。

体力の限界超えた

 今月上旬に現地調査をした北大大学院環境科学院博士課程2年の黒田充樹さん(25)はイトウの死因について「酸欠死の可能性が高い」と話す。「川の高水温が魚体内の代謝を上げて必要な酸素量は上昇したが、渇水で水中の酸素量が減っていたため、体力の限界を超えたのでしょう」

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