2005年12月30日

米国のバストーナメント不正行為摘発が続出

5356311_400X300.jpg ここ数ヶ月の間にアメリカで開催された数大会で不正行為の摘発が続いている。インターネットで確実なソースを探し出せるものだけでも2つ。警察沙汰にはなっていないが、これらの摘発に伴い「ウチのクラブトーナメントでも不正行為があった」とBBSに書き込む者も多く、著しいバストーナメントの発展、進化とともに競技中の不正行為が激化している。今回はネットで見つけたバストーナメントにおける不正行為のニュース2つを取り上げてみた。

 アメリカのバストーナメントでは、不正行為が見つかりオフィシャルに問いただされるとウソ発見器にかけられる。これはBASS、FLW、WON Bassをはじめとしたメジャー団体だけでなく、小さな団体やクラブも採用する不正行為摘発のいち手順である。悪質であった場合や確実に不正行為が目撃され、本人もすぐに認めれば、即座に警察が出頭、逮捕される。不正行為を発見されながらそれを否定した場合、ウソ発見器にかけらるわけだが、これもアメリカらしく、弁護士立ち会いの下で行なわれるケースが多い。したがって、ウソ発見器にウソが出なかったら、今度は団体側が名誉毀損で訴えられる。また、そういったケースの賠償金は、これもアメリカらしく、高額。ゆえに、ルールブックには「ウソ発見器にかける」と記載しておきながら、実際にはウソを暴けなかったときを考え、警察沙汰にはせず、うやむやにするケースも少なくない。だが、そうやって疑われたアングラーは高い確率でその団体を退会するようだ。

 まずひとつめのニュースは、sandiego.comに掲載されていた「Vista duo banned after bass tournament(ビスタ出身の2人組、大会後に出場停止に)」を紹介したい。
 レポートによると、12月10日、カリフォルニア州南部に位置するサン・ビンセンテ・リザーバーで開催されたナショナル・バス・ウェストのチームトーナメントにトム&カイル・ヘイゲル親子が参戦した。試合終了後、彼らの釣り方を問いただすためのオフィシャルがウソ発見器によるテストを行なおうとしたがこれを拒む。その結果、彼らはDQ(ディスクオリファイ)になった。ヘイゲルチームは17.22Lbをウエイインし優勝。一時は賞金3254ドルを受けたが、ナショナル・バス・ウェストはその地位と賞金を剥奪、および没収。今後、同団体のトーナメントに生涯出場停止処分の罰も言い渡された。
 ちなにみ、ヘイゲル親子は12月3日に同じレイクで開催されたWON Bassの大会に出場し優勝。4420ドルを受け取っている。西海岸をベースに活動するABAやWON Bassは、現在、生涯出場停止処分の措置をルール内に盛り込んでいないが、今後検討していくという。また今回ナショナル・バス・ウェストから連絡を受け、ヘイゲル親子のABA、WON Bassへの出場停止も発表する予定だ。

 ヘイゲルはサイトフィッシングをしていて、バスを引っかけて釣りあげた。サイトフィッシングの場合、バスの口にルアーがかかっているのをパートナーが確認してはじめてライブウェルに収めることができる。つまり、口以外の場所にフッキングしていたら、即座にリリースしなければならない。バストーナメントでは一般的にそれがルールに記載されているが、カリフォルニア州のフレッシュウォーターフィッシング・レギュレーションにも同様のルールが示されており、大会でなくてもバスを引っかけて釣るのは条例違反になる。
 また今回の不正発覚はひとりのビデオ撮影者によって明らかになった。撮影者が「怪しい連中がいる」と本部に知らせたのである。
 そして今大会は、名前は公表されていないものの、もう1組も不正行為で問いただされており、彼らは後日ウソ発見器によるテストを受ける予定だという。

 
 そしてヘイゲル事件より大きく取り上げられているのが、BASS CITGOバスマスター・セントラルオープン・レッドリバー大会(11月10-12日に開催)で起きたポール・トルマネンの不正事件である。この大会は大森貴洋さんが3位でフィニッシュしたので、記憶に新しいだろう。tourmenen1.jpg
 レッド・リバー大会の2日め、ハイプレッシャーなコンディションによりウエイトが大幅に落ち込み、10から13Lbを持ち帰れば優秀と言われたこの日、大森さんは20Lb5ozをウエイイン。予選ラウンドの首位に躍り出た。しかし、この日のトップニュースはトルマネンの不正事件であった。
 
 その不正内容を解説すると、公式プラクティス中、あるアングラー(後にサム・ハッカビーと判明する)がクランクベイトでバスを釣りあげた。しかしそのバスにはラインがついており、ラインを辿っていくと水中のスタンプに括り着けてあった。彼はラインがついたままバスをリリースし、BASSオフィシャルに報告。BASSが地元ワイルドライフ管理局に通告し、翌日局員が現場に向かう。ラインがついたバスを引きずり出すと、不正を暴くため、バスに目印を付け、再びリリースした。そしてトルマネンがそのバスをウエイインする。大会2日め、トルマネンはウエイイン後、2人の局員に呼び止められる。
 BBSから収集した情報によれば、彼は即座にボートを片付けるように言われ、手錠を掛けられ連行されたようだ。この間、彼は不正について問いただされ、自供したと思われる。
 ワイルドライフ管理局のプレスリリースには、「トルマネンは本戦前に数尾のバスをキャッチしスタンプに結びつけ、本戦でのそのバスをウエイインした」と記載されている。連行後、トルマネンは拘置所に収容されたが、その日のうちに5000ドルの保釈金を支払い出所している。
 大会終了後、BASSはトルマネンをDQし、BASS主催大会への生涯出場停止処分も告げた。

tourmenen2.jpg 後日ワイルドライフ管理局からトルマネン事件の詳細が発表された。彼はスタンプに結びつけていたバスのうち6尾をウエイイン。局員はバスにマークを付けるとき、バスの背びれの一部を切り取り持ち帰っている。これはDNA鑑定に用いられ、トルマネン裁判で証拠として提出される。
 第1回めの召喚は12月21日に行なわれたはずで、トルマネンが無罪を主張した場合、その後正式な裁判へと発展する。また有罪が決定した場合はルイジアナ州法により、最高で3000ドルの罰金刑、または懲役1年の禁固刑、または両方が言い渡される。現在のところ、召喚の結果はネットに掲載されていない。

 トルマネンがBASS主催の大会に出場したのはこれで2度め。1度めは今春サムレイバンで開催された大会だが、その際は119位でフィニッシュしている。その他、彼はFLW Outdoors系大会に17試合出場していて、エバースタート・セントラル(オーザクス大会)では5位、2004年度BFLトゥルーマン大会で優勝。また彼はハートランド・プロアマ大会に9度出場し、4度優勝。8位以下の成績を収めたことはない。
 
+sandiego.comの記事1
+sandiego.comの記事2
+National Bass West
+LDWF
+The Shreveport Times.com
+KCCI.com

Posted by DODGE at 2005年12月30日 09:55 in 海外フィッシング事情

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