2005年12月01日

琵琶湖岸:消波施設、撤去が帰化植物の抑制に効果的−−ヨシ植栽の安定後に/滋賀

 ◇チクゴスズメノヒエの抑制に有効 
◇京都大流域圏総合環境質研究センター・田中助手ら研究 
琵琶湖岸で進むヨシの植栽事業で、場所によっては帰化植物のチクゴスズメノヒエが侵入し、ヨシをしのいで繁茂するケースが見られ、関係者を悩ませている。植栽事業では波からヨシを守るため、柵(さく)や石積みなどで消波施設を設置することがあるが、京都大流域圏総合環境質研究センター(大津市)の田中周平助手らの研究で、長期間留置されている消波施設の撤去が、チクゴスズメノヒエの抑制につながる可能性が高いことが分かってきた。【服部正法】

 ヨシ群落は水質保全や魚類・鳥類などの生息場所としての機能が注目されている。琵琶湖岸では1960年代の約250ヘクタールが、湖岸開発などにより90年代初頭に約130ヘクタールにまで減少した。県は92年に全国で初めて「ヨシ群落保全条例」を制定。保全基本計画を定め、植栽によるヨシ群落の拡大・再生に取り組んできた。しかし、ヨシを植えた場所の中には、生息適応水深などが似ており“競合関係”にあるチクゴスズメノヒエが侵入し、途中から植栽地を占有するケースも見られる。
 田中助手らは、03〜04年に琵琶湖のヨシ群落の植生や土壌を調査。チクゴスズメノヒエの勢力が強い地点では、ヨシが多い地点に比べ土壌中のリンなど栄養塩濃度が高く、土の粒が粗かった。そうした場所は、波に弱いヨシの生育を安定させるために設けた消波施設のある地点とも重なる傾向が出た。
 田中助手らは、琵琶湖南湖東岸の旧草津川河口付近で02年に消波施設が撤去されたヨシ植栽地を調査。撤去後半年程度で土壌中のリン濃度が大幅に低下、チクゴスズメノヒエもほとんど消える結果となった。
 消波施設の撤去が水の流れを生んで土壌を変え、効果的なヨシ植栽につながる可能性を示していると言え、田中助手は「ヨシが安定した後の消波施設の撤去が、チクゴスズメノヒエの抑制に有効」と話す。12月1日朝刊(毎日新聞)

+Yahoo!ニュース-滋賀-毎日新聞

Posted by jun at 2005年12月01日 17:46 in 自然環境関連

mark-aa.jpg