2005年10月11日

選手がエントリーに難色/BASS Eliteシリーズ「パーティシペーション・アグリーメント・コンフリクト」 その1

elitelogo1.jpg BASSが2006年3月から開催する CITGO バスマスターEliteシリーズに関して、多数のプロアングラーやPAAが賛否両論を唱えている。エントリーフィーが1試合5000ドルという高額なものになり、全11戦で5万5000ドル。「(エントリーフィーが高くても)賞金が高額配当、またプロスポーツとしてバスフィッシングの価値を高めるためには仕方がない」といった声が徐々に聞こえはじめていたが、先日オフィシャルから発表されたParticipation Agreement(パーティシペーション・アグリーメント:大会参戦合意書)が再びアングラーを困惑させている。

 事の発端は、9月27日にBASSから「Eliteシリーズにクオリファイされるべきポテンシャルの高いアングラーたち」に向けて発送されたパーティシペーション・アグリーメントの内容にある。選手はこれによく目を通し、個々が合意できた場合、それにサインを書いて提出する。数年前、バスマスターツアーのメインスポンサーとして協賛したBusch(ブッシュビール社)が、「AOYレースに出場するなら、Buschビールのワッペンを着用し、ボートにもステッカーを貼ること」と定めた。これを行なわない選手は、AOYレースのポイントを剥奪され、そのレースにすら参加できないというものだった。各大会の賞金は受けられるが、最終年間順位に付随する賞金は得られないほか、AOYというビッグタイトル争いにも入れない。「だったら着用すればいい」と思われるかもしれないが、宗教的、教育的、倫理的などの観点からアングラーによってはアルコールブランドのワッペン着用を拒む者がいた。また他のアルコール/ノンアルコールを含むビバレッジ会社との契約上、Buschワッペンを着けられない者もいた。話が大きく逸れたが、つまり、団体側が提示する条件を満たせない場合、その大会に参戦できない可能性が生じる。いわゆる“Buschパッチ・コンフリクト”のときは、ワッペンを着用せず試合にだけ参戦した選手、またWal-Mart FLW TOURに専念した選手が存在したが、今回のパーティシペーション・アグリーメントは、あのとき以上に激しい動きが起こっている。

agreementelite05.gif そのパーティシペーション・アグリーメントはBassmaster.comに掲載されているため、興味のある人はそれを読んでもらいたいが、その合意書(Eliteシリーズ用のルールでもある)から現在注目されている項を見ていきたい。

 まずは、ラップドボート(Wrapped boat)から触れていこう。ラップドボートとはバスボートをスポンサーロゴで覆いつくすといった手法で、バスフィッシング界ではFLWが最初に取り入れた。アングラーはボートをけん引して開催地から開催地へとドライブするわけで、公道をけん引しているときにラップドボートはスポンサーにとっていい宣伝広告となる。もちろん、試合中にTVに撮影され、雑誌に掲載される可能性の高いラップドボートは今や多数のスポンサー、特にノン・エンデミック(=業界外)のスポンサーに好まれている。
 今回提示されたアグリーメントによると、選手はEliteシリーズにおいて、BASSから支給されるステッカーを決められた場所に貼らなければならない。またドライバーズシート側のウインドシールド、ライブウェルの真上にもBASSから支給されるステッカーなどを貼ったり、塗ったりしなければならない。
 これに待ったをかけたのが、ボートメーカーと選手だった。ボート全体をBASSに協賛するスポンサーロゴで包むわけでもなく、ステッカーを貼る程度なら、なんら問題はなさそうだが、オフィシャルはステッカーを貼る場所を指定(ボート後方の脇)。Eliteシリーズ・ステッカー、BASSメンバーステッカー、CITGO AOY参戦用ステッカー、そして後日発表される第4のステッカーを貼らなければならない。
 多くのバスボートがそうであるように、ボート後方部の脇はメーカー名やボートモデル名が記載されている。ここがステッカーによって隠れてしまうとメーカーにとってメリットは著しく減少する。またボート中央部の脇にはアングラー名を入れなければならない(ステッカー、氏名は両サイドに入れる)。
 ウインドシールドの1/2はBASSが占拠し、ここにはBuschシュートアウト or CITGOバスマスター AOYのデカールを貼る。ライブウェルの真上には、CITGO、モーターガイド、Busch、トヨタ、バークレー、トライトン、ローランス、マーキュリー、ピュロレイターのどれかのデカールを貼る。これではボート会社が異議を唱えても仕方がない。

 ラップドボートに関しては、アグリーメントの第24項に記載されている。そしてこの項には、ユニフォーム(ジャージー、トーナメントシャツとも呼ばれている)についても規定が記されている。
 アングラーは胸の左上部にBASSメンバーワッペンを着用し、左肩にBuschシュートアウト・ワッペン、右肩にCITGO AOYワッペンを着用する。もちろん、競合団体のワッペンやBASSが好ましくないと判断するロゴは着用できない。
 選手がユニフォームに着用するスポンサーロゴは、適当な場所や順序、部位に貼っているわけではない。多数の選手がバスを右手に持って写真に収まる。つまり、持ち上げたバスにロゴが隠れない胸の左上部はロゴ掲載料が右下部より高額なのだ(ゴルフでは、キャップの左側は右側より高額といわれている)。したがって、選手は一番いいロゴ掲載部位をBASSに無償で提供しなければならない。
 選手の中には、この部位をロゴ掲載スポットとしてスポンサーに提供している者がいる。場合によっては選手とスポンサー間で訴訟問題に発展しかねない重要な問題なのだ。

 そして面白い規定もアグリーメントの中に発見した。イラストでワッペンを着用する位置を示した「ジャージー/シャツ・ガイドライン」に、「選手はシャツ、ロングパンツ、ハットを着用すること」と記載されている。ということは、短パンは禁止なのだろうか!? そして「デニムも禁止」とある。つまり、ジーンズ着用は許されないのか!? ワッペンの位置や有無についても、各トーナメントの前にチェックが入るらしいから、BASSも“紳士のスポーツ”と呼ばれるゴルフを意識したルール改革に徹底しはじめたようだ。

(「選手がエントリーに難色/BASS Eliteシリーズ『パーティシペーション・アグリーメント・コンフリクト』 その2」では、アグリーメントの第23項と第25項を解説予定)。

+Bassmaster.com

Posted by DODGE at 2005年10月11日 19:18 in 海外トーナメント:BASS, 海外フィッシング事情

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