2005年08月30日

川辺川ダム 収用申請の取り下げを勧告 熊本県収用委

 熊本県収用委(塚本侃(つよし)会長)は29日、川辺川ダム(予定地・同県相良村)の建設に伴う漁業権などの収用審理を開き、再三の要求にもかかわらずダム計画の変更方針を説明しない国土交通省に対し、収用申請の取り下げを勧告した。同省が9月22日までに取り下げない場合、同26日で審理を終結し、収用申請を却下するとの判断を示した。計画発表から39年、国は窮地に立たされ、ダム建設は当分の間、本体着工できなくなった。

 ダム計画は03年5月に川辺川利水訴訟で国が敗訴し、建設目的の一つである利水事業が白紙となった。収用委は「利水計画の見直しでダム計画がどう変わるか分からなければ判断できない」と国交省に変更方針を示すよう求め続けた。しかし、この日も明確な回答はなかった。
 塚本会長は「迅速な手続きを求めた土地収用法の趣旨に照らし審理の長期化は問題」と指摘。申請後に事業内容に変更が生じた場合は申請内容の是正が必要で「新利水計画がなかなか策定できない状況にかんがみ、ダム計画を確定させてから手続きをすべきだ。いったん申請を取り下げることを勧める」と言い渡した。
 関係者によると、国交省は29日までに取り下げの用意があることを収用委に伝えたという。
 国交省の宮田年耕・九州地方整備局長は「球磨川流域の治水上の必要性、緊急性から川辺川ダムは一日も早く完成させる必要がある。関係者と調整し最善の対応を検討したい」と、あくまでダム建設を続ける意向を示した。しかし、収用申請を取り下げる場合も、取り下げず却下となる場合も、ダム建設には収用再申請の手続きが必要で、大幅に遅れることが確実になった。ただ、却下の場合、国交省が不服審査請求し、審理差し戻しとなる可能性もある。【山田宏太郎】
(毎日新聞)

+Yahoo!ニュース-社会-毎日新聞

Posted by DODGE at 2005年08月30日 10:05 in 自然環境関連

mark-aa.jpg