2005年08月21日

外来種昆虫 カブトムシ・クワガタ激増 生態系に危惧も

 外来種のカブトムシとクワガタの人気が過熱し、輸入量が急増している。中には数十万円もする種類があり、夏休み中の子供たちだけでなく大人のマニアも夢中だが、専門家は生態系を守る飼育マナーの徹底も呼びかけている。【高橋昌紀】

 ■60万円希少種も
 世界の昆虫を集めて東京・池袋サンシャインシティで開催中のイベント「大昆虫王国」。カブトムシとコクワガタの放し飼いコーナーに母親と来ていた小学1年の男の子は、「大きくて、かっこいい外国のカブトムシがほしい」と興奮気味に話した。人気の秘密は、この「かっこいいから」につきるようだ。カブトムシ・クワガタを戦わせるゲーム「ムシキング」のヒットも相乗効果を生んでいる。
 東京都府中市の専門店「ランバージャック」では、常時販売する70〜100種類の約9割が外来種。ペアで2000〜3000円のコーカサスオオカブトムシなどが人気という。ペアで50万〜60万円もするミャンマー産のクワガタ、ウエストウッディーなどの希少種もあるが「購入するのは30、40代の男性がほとんど。自分で繁殖させる人もいるようです」と、松木鋭人(えいと)社長は話す。
 ■昨年は106万匹
 最近の人気の始まりは99年。当時のクワガタブームで、東南アジアや南米などからの輸入が急増した。農林水産省によると、カブトムシ・クワガタの輸入量は99年に計7000匹程度だったのが00年は約46万3000匹に。その後も増え続け、昨年は約106万1000匹を記録した。これまでに400種類以上の輸入が認められてきた。
 日本昆虫学会などは、外来種が逃げたり捨てられて、国内の固有種を駆逐したり異種交配による交雑が起きることを危惧(きぐ)する。国は今年6月に特定外来生物被害防止法(外来生物法)を施行し、指定した外来生物の輸入販売や飼育などを原則禁じたが、カブトムシ・クワガタ類は指定されなかった。追加指定すべきだ、との声がある一方で、同会の高桑正敏学芸員は「指定前の駆け込み投棄を増やしかねない。それよりまず、飼育マナーを徹底してほしい」と訴える。
 ■大事に育てて
 「インターネットの普及で、専門業者でなくても昆虫を手軽に売買できるようになった。繁殖させて副業にするサラリーマンもいる」と指摘するのは、九州大学の荒谷邦雄助教授(昆虫学)。外来種を交雑させ、珍しい個体を生み出そうとする人さえいることに、警鐘を鳴らしている。
 専門店の「ランバージャック」では店頭にポスターを張り、昆虫を捨てないように呼びかけている。松木社長は「夏休みが終わっても大事に飼育し、死んでしまったら標本にしてあげて」と話す。
(毎日新聞)

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Posted by DODGE at 2005年08月21日 13:37 in 自然環境関連

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