◇関係者「何のための研究か」−−「霞ケ浦方式」浄化槽
霞ケ浦の水質浄化のため、県が地元企業、研究機関と共に開発した家庭用の合併処理浄化槽が実用化から2年以上たっても、1基しか普及していない。県の開発は約5年半がかりで費用は25億円。県は「県開発の浄化槽だけを勧めるのは民業圧迫になる」と弁明するが、開発関係者らは「何のための研究か。普及に努めてほしい」と憤っている。
周辺宅地の生活排水が流れ込む霞ケ浦(西浦)と北浦は、富栄養化の原因となる窒素、リンが環境基準を超えた状態が長年続いている。このため県は97年11月に窒素、リンなどを除去する「霞ケ浦方式浄化槽」の開発に着手した。県内企業や国立環境研究所(つくば市)の研究者らが参加し、国の補助金約12億5000万円も投じられ、03年3月に完成した。この装置の処理水は、国が規制していない窒素、リンをそれぞれ1リットルあたり10ミリグラム、同1ミリグラムまで抑えられる。
価格は1基約140万円。県は03年度から、国の補助制度に加えて、「霞ケ浦方式」の設置に約17万円を上乗せする補助制度を設けた。だが現在までの補助申請は1基。一方、大手メーカーが同時期に開発、発売した浄化槽は1基約100万円で、87基の補助申請があった。
県は「販売元は価格を下げる努力が必要」と言うが、販売元は「特殊な部品が必要で、価格を下げるのは難しい」と反発する。
研究を主導した稲森悠平・国立環境研究所主席研究官は「汚泥の発生が少なくて済むなど、技術的には霞ケ浦方式の方が優れていると思う。県はもっと普及に力を入れてほしい」と話している。【高野聡】=一部地域既報
(毎日新聞)
Posted by DODGE at 2005年08月21日 13:36 in 自然環境関連