2005年07月14日

下久保ダム管理所:陸封型アユの遡上実態探る−−神流町・神流湖で調査/群馬

 ◇万場高生も参加し
 下久保ダム管理所は、神流町柏木の神流川砂防堰(せき)堤で魚類生態系調査を実施し、神流湖(下久保ダム湖)の特徴である陸封型アユの遡上(そじょう)実態を探った。今年度から水産コースを設置した地元の万場高校の生徒も初めて参加し、郷土の清流を教材に県魚・アユについて学んだ。

 神流川に生息する天然アユは陸封型と呼ばれる珍しい種類。アユは通常、ふ化すると海に下って越冬し、春に遡上する。神流川は下久保ダムでせき止められているため、ふ化後は神流湖で越冬する。神流湖は満水時の水面標高が約300メートルと県内のダム湖で最も低いうえ、越冬可能な水温の6度を下回ることが少ないため冬でもアユが生息できる。陸封アユは琵琶湖(滋賀県)や霞ケ浦(茨城県)、奥多摩湖(東京都)など全国約30カ所で確認されているが神流湖が北限とされている。
 調査は陸封型アユの確認と学術研究のためのデータ蓄積、釣り客へ「天然物」のPRを兼ねて、住民や漁協らで組織する下久保ダム水源地域ビジョン推進協議会、県水産試験場とともに実施。万場高水産コースにも参加を呼びかけ、1年生約30人が魚体測定などを手伝った。
 湖北端にあたる堰堤(えんてい)付近で捕獲した魚を種類別に分けて大きさを調べたところ、陸封型とみられるアユを数匹確認。遺伝特性を調べなければ断定できないが、漁協や魚類研究家によると、陸封型は10センチ程度の大きさで放流魚(20センチ前後)に比べ一回り小さいのが特徴で、生育時の水温が影響して放流魚は成長が早いという。アユのほかにオイカワ、カジカ、ウグイ、ヤマメなど計11種153匹を確認した。
 同協議会などによると、6月下旬の降雨で川が増水したため調査地点の陸封型アユは少なかったが、生息数は1万〜2万匹と推測している。川の状態が落ち着き、陸封型アユが成長する8月に釣果が期待できるという。
 万場高生徒は調査を手伝う一方、魚類研究家から魚の特徴やアユの友釣りの仕組みを学んだ。調査内容をレポートにまとめ今後の実習に役立てるという。魚体測定を手伝いアユを何十匹も手づかみしたという上井知慧(うわいちさと)さん(15)は「手にキュウリみたいなにおいが残ったけれど、漁協の人から『それが神流のアユの特徴だ』と教えてもらいました」と話していた。【花野井誠】7月12日朝刊(毎日新聞)

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Posted by jun at 2005年07月14日 20:14 in 自然環境関連

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