2005年05月08日

知床・世界遺産への道:道、すべての「落差工」に魚道設置−−羅臼川 /北海道

 ◇今秋から着工へ
 道は、知床半島を流れる羅臼川に設けられているすべての「落差工」に魚道を設置することを決めた。今秋から着工する。一部の落差工は世界自然遺産の推薦地内にあり、海と陸が一体となった生態系に貢献することを目指している。一方、ダムや羅臼川以外の落差工への魚道について「設置が有効かどうか個別の検討が必要」としている。

 落差工は高さ約2メートルの段差をつくり、流れを緩やかにして川底が削られるの防ぐことを主な目的とした河川工作物。
 羅臼川には61〜68年に18基の落差工が建設されている。このうち河口から5番目までの落差工にはすでに魚道が設置されているが、根室管内羅臼町は「上流まで魚が遡上(そじょう)する川になれば景観上魅力的だ」として、さらに上流部への魚道設置を道に要請していた。
 道は04年度に調査を実施した結果、上流部に産卵床に適した場所が存在し、既設の魚道も機能していることから、魚道の設置は有効と判断した。このため、道は今年度から3年間かけ、残りの13基(うち遺産推薦地内は5基)に魚道を設ける。今年度は6〜7基の落差工の補修と魚道整備を行う。
 財源は、国の補助事業のうち道が主体的に事業内容を決定できる「道州制モデル事業」(04〜07年度)を活用する。総工費約4億7000万円のうち、道の負担分は約2億1000万円。
 一方、推薦地には道が所管するダムが6基あるが、遺産登録を審査している国際自然保護連合(IUCN)がすべてのダムに魚道を設置するよう求めており、日本政府も設置する用意があるとの見解を示した。道は「落差工とダムでは規模が異なる。各河川が魚の生育環境に適しているかどうかを個別に調査して見極めたい」としている。【田中泰義】

5月7日朝刊
(毎日新聞)

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Posted by DODGE at 2005年05月08日 20:15 in 自然環境関連

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