2005年04月18日

ウォルマートが非営利団体とタッグを結成、野生動物生息地を保護

 アメリカの大手日用品量販チェーン店のウォルマート(Wal-Mart:FLW TOURのメインスポンサーでもある)が、次の10年間において店舗や社屋建設のために1エイカー(約4046平方m)広げるごとに、1エイカー分の“優先されるべき野生動物生息地”を保護していく計画を立てた。彼らはこれを「Acres for America(エイカーズオブアメリカ)計画」と名付け、非営利団体の全国魚類及び野生生物基金とともにの活動を共にし、その活動資金のために3500万ドル(約35億円)を寄与すると発表した。

 全国魚類及び野生生物基金とは、1984年、環境保護を目的に連邦議会によって設立された非営利団体で、今回の活動は財団と一般企業が共同で行なうものとしては過去最大級。野生動物生息地として保護される予定の場所は、ルイジアナ州カタホーラ国立野生生物保護区、ルイジアナ州シャフィールド洞窟とバッファロー・ナショナル・リバーの源流域、アーカンソー州ノース・リムとグランド・キャニオン、オレゴン州スクワーク・クリークとバック・トゥ・ホーム水域、メーン州ダウンイースト・レイク周辺の林業提携の5カ所。これらの地域に生息する植物、在来そして渡り鳥、淡水及び海水生物、大小のほ乳類を保護するとともに、彼らが今後も生息できる環境を維持していく予定だという。

 ところが、すでに矛盾が生じてしまっている。「ウォルマートが1エイカー広げることに」となってはいるものの、このエイカーズオブアメリカ計画は現在の同社所有の土地(8万8000エイカー=約356平方km)も含まれる。次の10年間で使用すると予測される土地が約5000エイカー(約20平方km)で、これらを合わせると約13万8000エイカー(約558平方km)になる。しかしメーン州の保護区は31万2000エイカーであるため、現在の目標面積では到底カバーできない。そこで基金側は今後さらに事業パートナーを捜し、合計活動資金を7000万ドルに増額する予定だという。
 
 ウォルマートは4月12日に全米規模で有名な20社の新聞にエイカーズオブアメリカ計画を一面広告で一斉に掲載。しかし、このような彼らのポジティブな働きかけに対し、一部の報道は悲観的な意見を述べている。4月22日がアースデー(地球の日)であるため、「それを見据えたパフォーマンスなのではないか」と述べている。なぜなら、ウォルマートはつい先月、数百人におよぶ不法滞在者を雇用していたとして連邦政府から訴えられ、1100万ドルで和解している。また昨年はクリーン・ウォーター法に引っかかり、300万ドルの罰金も支払っている。反郊外型開発団体は「たとえ彼らが(エイカーズオブアメリカ計画によって)グリーンなイメージを植えつけようとしても、本当の色を隠せない」と反論する。
 しかし、ウォルマートは年間2500万ドルを稼ぎ出す大企業で、1600万人の従業員が国内3600店、海外1570店、また彼らの関連企業で働いている。そのため地域や国への経済貢献度は高い。ウォルマートが動き始めたことで、「他の企業も自然保護に興味を持ってもらいたい」と基金代表者は語る。

+Wal-Mart
+National Fish and Wildlife Foundation
+Acres for America
+Sierra Club
+アースデー
+Greenbiz.com
+NewsMax.com

Posted by DODGE at 2005年04月18日 17:16 in 海外フィッシング事情, 魚&水棲生物, 自然環境関連

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