2005年03月17日

カワバタモロコ:58年ぶりに確認 県東部の水路で生息、在来個体群の可能性 /徳島

◇県レッドデータブック絶滅種、調査した学芸員「生きていたとは…」
 県レッドデータブック(01年)で絶滅種に分類されているカワバタモロコの群れが、県東部の水路で確認されたことが15日、分かった。県内では、1946年に石井町で確認されて以来で、実に58年ぶり。DNA分析の結果、外部から持ち込まれた可能性は低いことも分かり、在来個体群との見方が強まっている。県は今後、レッドデータブックの訂正も検討するが、生息環境をどう守るかが課題となりそうだ。【植松晃一】

カワバタモロコは、コイ科の小魚。県レッドデータブックによると、静岡県以西の本州や四国、九州北西部で平野部の池や沼、水路などに生息し、成魚は体長約6センチまで育つ。国のレッドデータブック(03年)でも、絶滅種に次ぐ「絶滅危惧1類」に位置付けられ、徳島と並ぶ四国の生息地である香川県でも、近年は確認例がないという。
 県内では、昨年8月に県民参加の「田んぼの生きもの調査」を実施した際、水路で目撃された。このため、佐藤陽一・県立博物館専門学芸員や徳島大研究者らが9月と11月に付近1.5キロ四方の56地点を調べたところ、20地点で発見。DNAを水産総合研究センター中央水産研究所(横浜市)で調べたところ、他地方の種とは、微妙に異なる在来個体群の可能性が強いという。
 生息地は、コンクリート張りの水路は少なく、なだらかな岸で水生植物が茂っていた土の土手がある水路が多かった。水生植物が多かったことで、天敵から逃れやすい隠れ場が多く、周辺に無農薬農業の農地が多かったことなど、好条件が重なったとの見方もある。
 一方、DNA調査の結果、県産カワバタモロコは、琵琶湖(滋賀県)生息個体と近いことも分かった。調査した佐藤専門学芸員によると、氷河期で海面が現在より低く、紀伊水道などが地続きだった約2万年前、琵琶湖産カワバタモロコと同一水系に生息していたが、温暖化に伴う海面上昇で分離され、独自に進化した可能性が高いという。
 佐藤専門学芸員は「まさか生き残っているとは思わなかった。かつては、吉野川下流域から那賀川下流域まで広く生息していたはずで、15年度には詳しい調査を行い、どのような生息条件が保全に必要か、分析したい」と話している。

(毎日新聞)

+Yahoo!ニュース-徳島-毎日新聞

Posted by DODGE at 2005年03月17日 10:15 in 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連

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