2005年03月11日

カリフォルニア州の新ルール エバースタート・ウェスタン第2戦が4尾リミット制を導入した真相

 アメリカには「Department of Fishing and Game(通称DFG)」と呼ばれる機関があり、湖沼や河川、または沿岸部で行われる釣りやその他の行事を行う上でのレギュレーションを決定したり、管理をしている。彼らが今年発行した「Freshwater Fishing Sport Fishing Regulation Booklet(淡水におけるスポーツフィッシングのルールブック)には、カリフォルニア州のレイクでブラックバスを釣る場合、“5フィッシュ・カリング”ルールを採用すると記載されている。現在このルールがカリフォルニア州のフィールドを使用するアングラーの間で大きな話題となっている。

 DFGはFreshwater Fishing Sport Fishing Regulation Bookletを毎年発刊しているのだが、ここには基本的な内水面におけるスポーツフィッシングのルール、たとえばライセンス料金やパブリックスロープの使用方法、罰則などが記載されている。彼らはフィールドを管理していくために多くのリサーチを敢行し、現在のフィールド状況を把握。必要であれば新しい項目を増やし、フィールドが過剰に使用されないようブックレットを通じてアングラーに伝えている。つまり、アングラーはここに掲載されているルールに準じて釣りをするのだが、2005年度ブックレットには「When in possession of a daily bag limit, continued catch and release fishing for the same type of fish is prohibited(その日のバッグリミットを所持した場合、その後同種のキャッチ&リリースによる釣りを禁止する)」と書かれており、また「Culling of Bass profibited(バスの入れ替えを禁止する)」とも書かれているのだ。

 詳しく解説すると、「カリフォルニア州DFGが設定した1日のバッグリミット(5尾)を釣り上げて、一旦ライブウェルに5尾を収めた場合、そのアングラーは同種をターゲットにした釣りを止めなければならない」といったルール。つまり、4尾をライブウェルに持っていて、5尾めを釣り上げたら、その5尾めはその場でリリースするか、ライブウェルに入れて釣りを止めるか、なのだ。今までであれば、5尾めを入れても継続して釣りをできたが、2005年度のブックレットには禁止と記されている。
 それで西海岸のスポーツフィッシング・レギュレーションに詳しい元WON BASSトーナメント・ディレクターのマイク・ケネディーに話を聞いたところ、これは新法ではないらしいのだ。ルールブックには以前から記載されていたことで、5尾めをキープした後も入れ替えが自由にできるようトーナメント団体に許可を出していたのだ。
 たとえば、WON BASSやその他の団体では、シェアーウエイト制度を導入している。これはボーターとノンボーターが共同して5尾を釣り、そのウエイトがお互いの結果に反映される、いわゆる“5フィッシュ・ボートリミット”である。極端なことをいえば、ボーターが5尾を釣り上げノンボーターがノーフィッシュでも、ノンボーターがその部門で優勝する可能性がある(その逆もありうる)。日本ではW.B.S.がこのシェアーウエイト制を採用している(W.B.S.は7尾リミット)。
 5フィッシュ・ボートリミットを採用した場合、実際には2人で9尾までライブウェルに入れられるが大会規定により2人で5尾なので、新ルールにはまったく引っかからない安全な形式だ。
 5尾めのバスをライブウェブに入れても、バスフィッシングのテクニックならブルーギルやストライプドバス、キャットフィッシュを釣ることも可能。それゆえに、「私は現在バスを5尾ライブウェルに持っていて、いままではバス釣りをしていたけど、この瞬間から別の種をねらいます」と言う屁理屈アングラーも中には存在するだろうが、バスフィッシング・トーナメントの場合、対象魚がブラックバスであるためそうもいかない。マイク・ケネディーは「このルールが障害になるのは、5尾リミットを採用している団体に限る」と述べている。
 
 カリフォルニア州のレイクでは、個々のレイクにもレギュレーションが設定されていて、バスのバッグリミットのないレイク、バッグリミットが6尾のレイク、バッグリミットが5尾のレイクがあり、キャスティーク・レイクではバッグリミットが2尾で、しかも18inがミニマムサイズになっている(通常は12inのところが多い)。ほとんどのレイクがバッグリミットに5尾を採用していて、このルールはかなり前から使用されている。しかしアングラーは知ってか知らずか、どのレイクでも5尾めをライブウェルにキープした後も釣り続けていた。DFGやワイルドライフ監視員も「いまはバスじゃなくて、他の魚を釣ってます」と言われれば、「気を付けてください」としか言いようがない。上記で“屁理屈アングラー”と書いたが、実はそうでもないのが現状だった。
 
 ケネディーは「DFGはトーナメント用の特別ルール許可しないといっているのだと思う。このレギュレーションは数年前に発表されたが、そのとき私はWON BASSの大会で問題が起こらないようルールを書き換えた」と語っている。WOB BASSレギュレーションの第17項には、バスは13in以上ボートリミットが5尾であることなどが記載されている。彼は「このルールであれば、トーナメント開催の許可が下りるレイクなら、どこに行っても問題ない。西海岸ではもっともスタンダードなレギュレーションだと思っている」と加えた。また「このルールに対してグチグチ言ってる連中がいるが、女々しい野郎たちだ。試合中に5尾すら持って帰ってこれない連中に限って、『5尾リミットを許可してくれないと大会が面白くない』と言ってやがる。ホントに笑えるよ」と皮肉も語ってくれた。
 
 さて、現在カリフォルニア州クリア・レイクでエバースタート・ウェスタン第2戦が開催されているが、開催前エバースタート・オフィシャルはDFGに特別許可の申請をしたが、DFGは「4尾リミットを新設するか、5尾リミットを継続使用して5尾めが釣れたら競技を中止させるか」の2択の回答を出した。オフィシャルは選手の混乱や個々の手違いによって発生するDQを考慮し、FLW Outdoors初の4尾リミット制の採用に踏み切った。
 ちなみにウィスコンシン州では「1度ライブウェルにバスを入れたら、入れ替えてはならない」といったレギュレーションがあり、このローカルルールをそのまま採用して開催された2004年度エバースタート・ノーザン第1戦では、多くのアングラーが特殊なルールに翻弄された。
 この結果を知ってか、BASSは今年6月に開催されるElite50第4戦ウィスコンシン州レイク・ウィスワッタ大会では特別ルール(入れ替え)の使用を申請し、すでに許可が下っている。
 またエバースタート・ウェスタン戦は今後4尾リミット制で競技されるのかといえば、それはカリフォルニア州のレイクを開催地にした場合に限る。通常、ウェスタン戦はアリゾナ州やネバダ州のレイクも使用しており、これらの州ではバッグリミットが6尾であるため、通常ルールでもなんら問題なく開催できる。

(今回、この記事を書くにあたり意見を伺った元WON BASS トーナメント・ディレクターのマイク・ケネディー氏は、2月28日、購入したばかりのハーレーダビッドソンを運転中事故に巻き込まれ、カリフォルニア州パーム・スプリングスにあるデザート・リージョナル・メディアカル・センターに搬送された。容態は深刻で、身体のいたる部位を骨折。現在集中治療室に入っている。すでに数回の手術を行ない徐々に回復しているという。この記事に使われた彼の見解は、事故直前の27日に受け取ったメールから引用した。1日も早く元気になり、現場復帰ができるよう、basswave一同心からお祈り申し上げたい)。

Posted by DODGE at 2005年03月11日 20:41 in 海外トーナメント:FLW, 海外フィッシング事情

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