2005年02月21日

FLW TOUR第2戦 初日から最終日までの経過

 BASS CITGOバスマスターツアー第1戦がフロリダ州レイク・トホで開催されてから2週間後のトホで、今度はFLW TOUR第2戦が開催された。FLW参戦アングラーにとってバスマスター第1戦の結果は絶好の情報収集の場となったが、トホらしからぬローウエイトな試合が展開されたため、多数のアングラーが不安を抱えたままFLW第2戦のプラクティスに突入した。しかし、いざ試合が開幕すると、先のバスマスターの結果がウソのような展開に。初日からビッグウエイトが続出し、トホを有するキシミーチェーンはそのポテンシャルをまざまざと見せつけた。

 ボートランチングはレイク・トホで行なわれるが、大会自体はトホと繋がる4つのレイク舞台に開催される。いわゆるキシミーチェーンと呼ばれるレイク群だ。バスマスター第1戦の大会経過でも記したが、昨年キシミーチェーンでは大規模なレストレーション・プログラムが敢行され、以前とは景観の異なるフィールドへと変貌。ボトムに堆積したドロが取り除かれ、ハードボトムが剥きだしになり、魚類にとっては産卵場所が増加した。これによって、いたるところでネストが見つかる予定だったが、時期的に、そして天候的に、バスマスター戦ではスポーニングのタイミングにはまらなかった。
 ところが、その2週間後に開催されたFLW TOUR第2戦では、ドンピシャではまったと思われる。

 本戦初日、なんとオキチョビー・キングとして名高いJTケニーが23Lb10ozをウエイイン。メソッドはオキチョビーと同様に、リアクション・イノベーションズ社のスイート・ビーバーのフリッピングだった。「フロリダにいるときは、フリッピングばかりだ」と答えたケニーは、バウデッキには3本のフリッピングロッドを用意しただけだった。この23Lb10ozには、レイク・キシミーで釣り上げた9パウンダーが含まれている。「2日め用にエリアを残しておいたから、明日もグッドシェイプで帰着したい」と自信満々のウエイインとなった。
 初日の決め手となったのは、レイク・トホとキャナルを繋ぐロック(手動開閉式水門)だった。ケニー、そして7位につけたトム・マン・ジュニアもロック通過のタイミングに合わず、次の開閉時間までを手持ち無沙汰にトホで時間を潰した。ロックは基本的に1回に15艇ほどしかホールドしないため、最初の15艇が入った後にロックに到着した選手は、次の開閉を待たなければならない。1回の開閉で消費する時間は約20-25分だという。
 行きはともかく、問題は帰着のためにマリーナに戻るロック通過のタイミングにあった。帰着しようと大勢の選手が一斉にロックへと駆けつけた場合、2回以上の開閉を待たなければならない。ロックの通過だけで1時間以上を浪費するかもしれない。競技者ボートによって発生する渋滞の時間を余裕を持って逆算しておかなければ、帰着遅れでウエイインできない可能性がある。
 初日、マイケル・アイコネリは約10Lbをライブウェルに持っていた。ところが、自分がロックに到着したときにはすでに多数の選手が開閉を待っていたため、なかなか通過できず、痛恨の帰着遅れでノーフィッシュ扱いとなっている。

 予選最終日の成績には、さらに驚かされた。 初日をトップで折り返したJTケニーがこの日4番めのグッドストリンガー、17Lb5ozを持ち帰り、トータルを40Lb15ozに伸ばして予選ラウンドを首位で決勝へと抜けた。
 この日のトップウエイトはトム・マン・ジュニアの19Lb3oz 。ケニーともにレイク・キシミーを主戦場としていた。ちなみに大森貴洋さんがバスマスター第1戦で優勝したときのパターンもキシミーだった。
 予選を1位で決勝進出を果たしたケニーは、エバースタート戦も含めこれで今シーズンは3戦め。全戦で優勝候補に名前が上がり、しかも全戦で決勝進出を果たしている。
 この日、場所によっては風速25マイル(約12m毎秒)を越える強風が吹き抜けた。全体的に釣果には影響がなかったようで、200名中125名がリミットメイクに成功。しかしこの風はコールドフロントを予兆するもので、決勝の2日間はその影響をダイレクトに受けると予測された。

 FLW TOUR第2戦決勝には、面白いメンツが進出した。たとえば、FLWルーキーのボビー・レイン、フロリダ戦に滅法強いJTケニー、西海岸の先鋭アート・ベリー、2003年度AOYのダン・モアヘッド、そしてバスマスター・クラシック・ウイナーのディオン・ヒブドンなどと、新旧の世代交代をも思わせるメンバーが集結した。
 フィールドのコンディションは2日めに比較しさらにタフに。コールドフロントの影響で、気温が10℃近く急低下するという事態に、バスの反応は最悪の状態に陥った。それは、レインが持ち帰ったこの日のトップウエイト、10Lb14ozが物語っている。 ビッグウエイトが多く持ち込まれた初日の成績と比較してみると、10Lb14ozは47位に相当する。しかし決勝初日では、堂々と首位を獲得してしまったのだ。リミットメイクできたはたったの2名。5名が3尾、2名が2尾、1名が1尾。大会2日めのリミットメイク率が62%だったのを思い返すと、悲惨な成績である。
 レインは「いままでエバースタートでも決勝最終日をトップで迎えたことはあったが、一か八かで勝負に出て、ヒーローになるかゼロかの賭けてやっていたが、いつもゼロで終わっていた。今回はギャンブルせずに、着実に攻めていきたい」と優勝宣言をしたが……。予定どおりに展開しないのが、トーナメントフィッシングの難しさである。
 
  最終日、ボビー・レインはリミットメイクできず、2尾のみのウエイイン。トータルを13Lb3ozに伸ばずが、優勝戦線からは脱落する。
 タフ化したキシミーチェーンを経験したのは、彼だけではなかった。決勝を闘った10名全員がリミットを揃えられなかったのだ。しかも2名がノーフィッシュで帰着という、今シーズンのフロリダ戦は例年から察するイメージを根底から覆すものとなった。
  結局3位でフィニッシュしたレインだったが、「私は、ずっとプロアングラーになることを夢見てきた」と告白。エバースタートで活躍しFLW第1戦を7位で終え、「(これらの試合を通して)私はプロたちを相手に闘った。これで私も彼らの仲間入りできたと思っている」と純真な気持ちを語った。第2戦が終了し、彼は暫定年間順位の1位にランクされている。昨年は深江真一さんがルーキーイヤーならがAOYを獲得したように、レインもルーキーイヤーにAOYを獲得するのだろうか。

  決勝最終日、レインが不調に終わったため、最終決戦はトム・マン・ジュニアとアート・ベリーの一騎打ちになった。最初にウエイインをリードしたのはベリーで、10oz差でトップに立った。ここでトム・マンが1尾でも検量器にバスを乗せられれば、マンの優勝が確定する。マンはウエイインバッグに手を伸ばすと、1Lb6ozというスモールフィッシュを取り出した。しかしこの1尾は、ベリーの猛攻を追撃するには充分なウエイトだった。
 ちなみに、この日のウエイトだけでいえば、ベリーはマンより1Lb2oz多く釣っていた。しかしルール上、決勝2日間の合計がウイニングウエイトとなるため、トム・マン・ジュニアが初のFLW制覇というかたちで大会は幕を閉じた。
  マンの優勝は、1992年12月2-5日の日程で開催されたBASSバスマスターBP TOP100(ジョージア州レイク・レニアー大会)以来になるため、なんと13年ぶり。1997年からFLW TOURに本格参戦し、これまでに2度2位に入賞している。
  2位でフィニッシュしたアート・ベリーは、今季からFLW TOURに復帰しているが、それまではエバースタート・ウェスタンで凌ぎを削っていた。2004シーズン、ウェスタン戦で年間総合2位を獲得しFLWに昇格したが、実は彼も優勝とは縁遠いアングラーである。ウェスタン戦時代には合計8試合(2シーズン)に出場し、3試合で2位に甘んじた(BASSにおいては、ウェスタン・インビテーショナル時代に優勝1回-1999年-を経験しているが、近年は優勝から遠ざかっている)。昨年は、西海岸出身のルーク・クラウセンがチャンピオンシップで優勝し、ブレント・エーラーはエバースタート・チャンピオンシップで優勝。ティム・クリンガーがFLW TOUR第4戦で優勝するなど、このところウェスタン・アングラーが目まぐるしい活躍を見せている。また現在はすでに全米レベルの選手へと成長したジョン・マーレイやアーロン・マーテンス、スキート・リースも西海岸出身のアングラーである。今後、アート・ベリーも台風の目になることはあるのだろうか。ベリーは今大会を終えて暫定総合44位につけている。

  ちなにみ、今大会唯一の女性アングラーとして参戦(コ・アングラー部門)したジュディー・イスラエルは4位に入賞。彼女は9年連続でFLW TOURのコ・アングラー部門に出場していて、エバースタートでも2ディビジョンに参戦している(エバースタートでもコ・アングラーとして出場していたが、今季サウスイースタン第1戦にはボーターとしてエントリーした)。コ・アングラー部門ながら、過去に2度の優勝を経験。トップ10には11回入賞している。

Posted by DODGE at 2005年02月21日 20:30 in 海外トーナメント:FLW

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