「数年のうちに河口湖ではブラックバス釣りができなくなるのでは」。環境省の全体専門家会合が31日、特定外来生物被害防止法に基づき飼育や移動が禁止される「特定外来生物」指定リストにブラックバスの一種、オオクチバスを選定したことを受け、バス釣りの盛んな富士河口湖町の河口湖では、町や漁協など関係者の間に不透明な先行きへの不安が広がった。
河口湖漁協はここ数年、同湖に1匹およそ500グラムのオオクチバスを年間36〜37トンを放流している。同漁協の代表権を持つ梶原亥之雄前組合長は「水温が低く生息しにくい上、移動の禁止で放流ができなければ、数年のうちに河口湖からバスはいなくなる」と指摘する。
河口湖商工会青年部は昨年、釣り客1000人に対するアンケートから同湖でのバス釣りは年間約40億円の経済効果をもたらしていると試算。同湖畔で釣具店を営む男性(42)は「バス釣り自体が悪いというイメージになる可能性があり、経済面でも大ダメージだ」と憤る。
同町の小佐野常夫町長は「ワカサギやコイなどは豊漁で河口湖には生態系への影響はないという現状を同省には認識してほしいが、もはや町レベルで(指定を)止められる段階ではない」と話し、オオクチバスの養殖が可能になる「特区扱い」を受けられないか検討する考えを示した。【吉見裕都】2月1日朝刊(毎日新聞)