2005年01月05日

自然保護、パトロールに力点…環境省が保護官に補佐役

 環境省は来年度から、全国の国立公園などで野生生物の保護にあたる自然保護官(レンジャー)の補佐役として「アクティブ・レンジャー」を新設する。

 それに先だって来月、北海道の知床国立公園と鹿児島県の奄美地区に各1人を試験的に配置する予定で、5日から募集を始める。

 現在、全国のレンジャーは234人。デスクワークや会議に追われ、肝心のパトロールなどに十分な時間を割けないのが悩みの種だ。アクティブ・レンジャーは、広大な地域を限られた人数で保護するレンジャーの“右腕”として、活躍が期待される。

 環境省のレンジャーは、28か所の国立公園の管理や希少動植物の保護を目的に配置されている。国立公園の総面積は206万ヘクタールに上り、レンジャー1人当たりの管理面積は、東京ドームの2000倍近い8800ヘクタールにも。日本と同様、民有地を含めて国立公園に指定している英国と比べると、14倍の広さを受け持っている。

 さらに、保護地域内の開発許可の審査や保護計画の策定など、役人としての管理業務も多く、勤務時間の多くをデスクワークに割かざるを得ないのが現状だ。

 このため、同省は、アクティブ・レンジャーの新設を決め、来年度予算に2億円を計上、60人の採用を予定している。国立公園内のパトロールや、訪れた人への自然解説など、主に現場の仕事を担当してもらい、野生動植物の密猟・盗掘などの違法行為を見つけた時には、指導や、レンジャー、警察への通報を行う。

 待遇は非常勤職員で、週5日勤務。経験、年齢は問わず、大学卒の場合、日給8130円。自然保護活動の経験があれば、加算されるという。本格的な募集は4月初めになる。

 アクティブ・レンジャーが先行配置されるウトロ自然保護官事務所は、世界遺産登録を申請中の知床地区を管轄。レンジャー2人で半島のウトロ側半分を受け持っている。田中準自然保護官は「3年前は3日に1度は現場に出られたが、最近は、世界遺産登録への準備作業で、週に1回出られればいいところ」と言う。それだけに、「新しい人材をうまく活用して、我々もできるだけ現場で活動できるようにしたい」と、新しい仲間の赴任を心待ちにする。

 もう一つの奄美地区。国立公園ではないものの、貴重な野生生物が生息しているため、1999年からレンジャーが配置され、来年度から、外来種対策のモデルケースとして、マングースの一掃作戦が計画されている。阿部慎太郎自然保護官は「これまでは事務作業に追われながら、マングースの駆除や国の特別天然記念物アマミノクロウサギの保護活動などに取り組んできた。それでもまだ、生息実態すら把握できていない希少動物も多い」と語り、名称通りアクティブな(活動的な)仕事で保護活動の成果が高まることを期待している。(読売新聞)

+Yahoo!ニュース-社会-読売新聞

Posted by jun at 2005年01月05日 11:30 in 自然環境関連

mark-aa.jpg