強いオスが多くのメスを占有するオオサンショウウオ、中国種と交雑個体は繁殖力が強い…広島市の川では8割が交雑種 研究センターが固有種の保護対策加速

 外来種との交雑が進み、日本固有種の絶滅が懸念される国特別天然記念物のオオサンショウウオを保護するための取り組みが、広島大両生類研究センター(広島県東広島市)で進められている。固有種かどうかを見分けるための新技術を開発し、捕獲した個体専用の水槽も設置。広島市佐伯区を流れる八幡川では捕獲した個体の8割が交雑種だったといい、対策を加速させる考えだ。(正田和也)

 オオサンショウウオは西日本を中心に生息。交雑個体は2005年に京都で見つかって以来、各地で確認されている。県内では、22年に同大総合博物館の清水則雄准教授らが八幡川で初めて発見。23年、同大学内に保全対策プロジェクト研究センターを設立し、年に40回以上、八幡川で現地調査を行っている。

 清水准教授によると、県内の外来種の多くは中国種だという。元々、食用として国内に持ち込まれ、それが人の手によって各地の川に放され、交雑が進んだとされる。

 オオサンショウウオは、強い1匹のオスが多くのメスを占有し繁殖するが、これまでの研究で、中国種と交雑個体はいずれも固有種より大きく、繁殖力が強いことがわかった。中国種や交雑個体を駆除する以外に、固有種保護の有効な手立てはないという。

 固有種と中国種、交雑個体を外見で見分けるのは難しく、DNA解析を行う必要がある。これまでは高度な装置を使っていたが、両生類研究センターでは調べる遺伝子を5個に絞る簡便な方法を開発。高校の生物実験で使う安価な装置でも実施でき、費用は従来の数分の一程度に抑えられ、その日のうちに判別できるようになった。

 また、捕獲した中国種、交雑個体を飼育、研究する専用の水槽(長さ94センチ、幅58センチ、高さ42センチ)を国内の大学で初めて導入。6槽あり、すでに1匹の中国種と4匹の交雑個体を飼育している。今後は、放射線を利用した交雑個体の不妊化の研究や、固有種、中国種の純粋系統の保存に向けたiPS細胞の確立などに、飼育する個体を使うという。

 中国種と交雑個体は24年7月、特定外来生物に指定された。現在はペットとしての飼育や許可のない譲渡、運搬が禁止されている。

 プロジェクト研究センターの三浦郁夫客員教授は「交雑個体をいくら駆除しても、(違う地域から)新たに外来種が持ち込まれれば、全く意味がなくなる。オオサンショウウオの危機的な状況を多くの人に知ってもらいたい」と話している。

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