2025年度奄美希少野生生物保護増殖検討会(座長・石井信夫東京女子大学名誉教授、委員6人)が17日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。環境省、県、自治体、自然保護団体などから関係者約50人が参加。1999年から続けられてきたアマミヤマシギ、オオトラツグミの保護増殖2事業について、「安定的な生息状況にある」と判断、今年度末で完了することで合意した。全国で79種を対象に57ある環境省の保護増殖事業で完了を決めたのは初。
同検討会は、国内希少野生動植物種に指定されているアマミノクロウサギ、アマミヤマシギ、オオトラツグミなどの保護・増殖策を科学的知見に基づいて検討・評価する専門家会議。
環境省は完了を決めた理由について、▽外来種による減少要因の除去(フイリマングースの根絶、ノネコ対策の進展)▽アマミヤマシギの交通事故が年間20羽程度と深刻な状況にない▽森林域の開発に規制がなされている―ことを挙げ、監視フェーズへの移行が可能と判断した。
アマミヤマシギは、04年度の推定生息数最大約1万4千羽だったものが、22年度推計で最大約3万1千羽以上に増加。分布域は、奄美大島全域に拡大している。
オオトラツグミは、NPO法人奄美野鳥の会による奄美中央林道での調査で、04年の42羽から倍増し、16年以降は100羽前後と回復傾向にあった。
一方、アマミノクロウサギについては、ロードキル(交通事故死)発生件数が20年頃から急増し、25年も11月末現在で174件(奄美大島146件、徳之島28件)と、対策の効果が見られないことや、徳之島における「ノネコ管理計画」の未整備を理由に継続する方針とした。
同意を受け、沖縄奄美自然環境事務所長が1月中旬をめどに完了を決定し、24年度から10年間の2事業計画は廃止される。
26年度以降は「監視フェーズ」に移行、モニタリング(生息数調査)のみの実施となる。アマミヤマシギの調査は、ルートを半減し行う予定。野鳥の会が実施しているオオトラツグミの調査は、26年は従来通り実施するが、今後調査方法の変更などを考慮する。
