外来種病害虫「チュウゴクアミガサハゴロモ」、県内で初確認 果樹などに寄生、樹勢衰弱や枯死

 果樹などに寄生し、樹勢の衰弱や枯死を引き起こす恐れがある外来種の病害虫「チュウゴクアミガサハゴロモ」が本県で見つかった。山形昆虫同好会事務局長の横倉明さん(69)=山形市=が今月、自宅のキンモクセイに3匹の成虫が寄生しているのを確認した。昨年から関東、九州方面で発生していたが、東北地方では初めてという。幼虫時に風に乗って運ばれてきた可能性が高いとみられる。

 チュウゴクアミガサハゴロモは中国原産の外来種で、カメムシ目ハゴロモ科の昆虫。成虫になると開長約2センチの大きさになり、茶褐色で羽に白斑があるのが特徴だ。国内では2017年ごろ、大阪府で確認されて以降、各県で病害虫発生予察特殊報が出ている。

 リンゴやナシ、ブドウといった広範囲の果樹類などの枝の皮を剥いで多数の卵を産み付けるため、枝の組織が損傷する。加えて幼成虫が集団で樹液を吸汁するため、排泄物で「すす病」が発生する。

 やっかいな点はこの病害虫に対して国内で使用できる農薬がなく、被害を受けた木は損傷した部分の枝を切除するなどの対処が必要となる。所管する県病害虫防除所は現時点で県内で見つかったとの情報は持ち合わせていないとし、「今後、情報を確認した上で、他県に準じた対応が必要になる」と話している。

 横倉さんは、気候変動で元は本県にいなかった種が見つかる例が増えていると指摘する。「市内の身近な場所で見つかり、気が付かないだけで(ほかの新たな害虫が)存在している可能性がある」とし、先手の対策が必要と訴えている。

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