外来カイガラムシ(和名ソテツシロカイガラムシ)によるソテツ被害の初確認を受けて鹿児島県喜界町は定期的なパトロールを行っているが、新たに2か所で被害が確認された。1か所は葉の除去や薬剤散布で済んだものの、もう1か所は被害が全体に及んでおり、町は24日から被害木の伐倒駆除を予定している。
同島でのソテツのCAS(キャス=学名アウラカスピス・ヤスマツイの英語表記の通称)被害初確認は1月31日。赤連地区の道路沿いに植樹された9本で、2月1日に町から処分を委託された、あまみ大島森林組合喜界支部が根元から伐倒、飛散防止のためブルーシートでの保護が図られた。
町農業振興課によると、被害拡大を防止するため定期的なパトロールを実施。職員が2人1組となり、初確認の赤連地区に近い場所は2週間に1回、島内全域にわたっては3週間に1回の割合で被害が出ていないか確認してきた。その結果、新たに湾地区で2本(集落内)、中里地区で10本(県道沿い)の被害ソテツを3月12日に確認。薬剤散布を2回繰り返したところ、湾の方は初期被害だったことから葉の除去で済み、薬剤散布も行っている。
深刻なのは中里地区。同課によると、葉だけでなく幹にも被害が及び、「薬剤だけでは効果がない」として所有者の許可を得て、赤連地区同様、根元からの伐倒駆除に乗り出す。町が予算を計上し森林組合に委託する。
町内のソテツ被害について町はホームページで公開。被害状況、駆除方法を明らかにしているが、新たな被害も追加し周知を図る。同課には住民から「被害が出ていないか確認してほしい」といった問い合わせが寄せられているという。
隈崎悦男町長は「奄美大島の被害実態から重大な関心を持ち警戒してきた。ソテツは景観的な役割だけでなく、食糧難の時、飢えから島民を救った歴史があり、さらに喜界町の保護植物の一つ。大切に守らなければならない。これ以上拡大し、蔓延(まんえん)することがないよう食い止めていきたい」と語った。