神戸で外来種クビアカツヤカミキリが昨年度の約3倍に サクラなど食害 市民参加生物調査でも情報届く

 幼虫がサクラやウメ、モモなどの木を食べて枯死させる特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の目撃情報が今夏、神戸市内で大幅に増えたことが分かった。市環境局自然環境課によると、昨年度の3倍近くの数が確認されており、市内での生息拡大が懸念されているという。成虫発生のピークは夏で終わるが、幼虫の生息は11月末ごろまで確認できるため、同課では引き続き市民からの情報を募っている。

 クビアカツヤカミキリは、中国、朝鮮半島が原産の外来種で、名前の通り首(胸部)が赤色、ほかの部分は光沢のある黒色のボディーが特色。成虫は6~8月に発生し、繁殖力が非常に高く、一匹のメスが樹皮に最大1000個の卵を産み付ける。サクラ、ウメ、モモ、スモモなどの樹木を好み、幼虫は木の内部を食べて成長し、木くずとフンが混ざった「フラス」を大量に排出する。フラスによって、木の中にいる幼虫の存在が分かる。

 神戸市では2022年7月、北区で初めて成虫を確認。2023年度には北区・灘区・西区で計10匹。今年度はこれまでに北区と灘区で27匹が見つかった。

 クビアカツヤカミキリの増加について、自然環境課は、▽大阪府、奈良県など関西の各地で分布が拡大▽神戸市内には食害の対象となるサクラなどが非常に多く植栽されていることもあり、近隣から侵入が進んだ▽市の広報などによって、市民がクビアカツヤカミキリについて知るようになり、正確な通報が多く投稿され、確認数が増えた―などの背景を挙げている。

 目撃者から通報があった場合、自然環境課は現地調査やフラスのDNA鑑定を実施。成虫の殺処分のほか、幼虫が潜んでいる木の伐採と焼却、成虫の拡散を防ぐため木にネットを巻く、木の幹に農薬を注入して幼虫を駆除する、など徹底した対策を行っている。

 幼虫は、11月末ごろまで冬眠せずに木の内部を食べ、フラスを排出。フラスは薄茶色でかりんとう状、幼虫の成長が進むにつれてフラスが太くなる特徴があるという。同課の武田敦之係長は「サクラやウメ、モモの木などに大量のフラスや木くずがみられる場合は、写真を添付してメールで通報してほしい」と呼び掛けている。

 一方、同課は6~8月にかけて、動植物を判定するスマホアプリ「Biome(バイオーム)」を活用した恒例の市民参加型生きもの調査「クエスト」も実施。3か月で約1000件の投稿が寄せられた(※8月27日現在)ことが分かった。内容の整理はこれからだが、継続して調査対象としている特定外来生物ツヤハダゴマダラカミキリや、昨年度は1件もなかったクビアカツヤカミキリについての投稿もあったという。

 クビアカツヤカミキリのフラスの目撃情報・問い合わせは、写真を添付の上、神戸市環境局自然環境課 biodiversity@office.city.kobe.lg.jpまで。

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