奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産地域連絡会議・奄美大島部会と、奄美群島世界自然遺産保全活用検討会・自然利用部会の会合が11日、鹿児島県奄美市名瀬の県大島支庁で開かれた。オンライン参加も含め官民の関係者75人が参加し、遺産地域の管理に関する奄美大島の行動計画の進捗(しんちょく)状況を確認。今後の課題として、外来種対策や希少野生動物のロードキル(交通事故死)対策の強化を求める声が上がった。
地域連絡会議は行政や地元団体など関係機関の連絡・調整や合意形成を図る目的で設置され、地域別の部会を設けて遺産登録地の適正な管理の在り方を協議している。新型コロナウイルスの影響で4年ぶりの対面開催となり、環境省、林野庁、県、市町村、自然保護団体、観光団体の代表者らが意見を交わした。
行動計画の進捗状況では、各地域・団体で実施された環境保全事業や啓発運動の情報を共有。外来種対策について環境省奄美群島国立公園管理事務所は、特定外来生物のマングースやシロアゴガエル、条件付特定外来生物アメリカザリガニの防除の取り組みなどを報告した。
参加者から「特定外来種以外の植物でも固有種生息域の侵略や在来種との交雑の危険性がある」「園芸植物を含む植物の防除や一般市民への啓発をしてほしい」と対策強化を求める声が上がった。
このほか、「アマミノクロウサギのロードキルを防ぐために意識啓発だけではなく道路の整備も必要だ」「砂防ダムがリュウキュウアユの生息数減少に影響している。撤去も含めた検討を」などの意見が出され、出席した関係各所で今後の課題を共有した。