岐阜県郡上市白鳥町中西の農業用の「西坂ため池」で肉食性の特定外来生物「コクチバス」の繁殖が18日に確認されたことを受け、世界農業遺産「清流長良川の鮎」推進協議会の長良川鮎資源管理・増殖部会は27日、ため池と周辺の水路などでコクチバスの駆除を行い、計76匹を捕らえた。全長は最大約45センチだった。ため池外の下流の川や水路でも捕まえ、拡散していることが確認された。
長良川上流域の西坂ため池では、コクチバスがいるとの情報を得た郡上漁業協同組合の組合員が18日に成魚を釣り上げた。多数の稚魚が泳いでいるのも確認した。県は池の構造などから何者かが密放流したとみている。流水域、低水温に適応でき、鮎の捕食被害の発生が懸念される。長良川では5月に美濃市で初確認されている。
駆除には県や郡上市、漁協関係者ら約50人が参加し、電気ショッカー、たも網や竿(さお)などを使い、次々と捕らえた。76匹の内訳は、成魚33匹、稚魚43匹。うち15匹の稚魚は、ため池と曽部地川をつなぐ水路で12匹、同川の上流部100メートル区間で1匹、ため池につながる農業用水路で2匹を捕らえた。
農業用水路は、水田などで農業利用された後の水が牛道川へ流れる。曽部地川、牛道川は長良川の支流で、長良川にコクチバスが流出した可能性があり、県などは早急に現状把握を進める考え。
今回、ため池で駆除したコクチバスは一部とみられ、今後も駆除を継続する。池の水を全て抜く「かい掘り」も視野に、地元関係者と協議を重ね、完全な駆除を目指して対策を進める。
玉田和浩協議会長は「池にこれだけのコクチバスがいるのにびっくりした。外来種と認識して放流したということになれば許しがたい」と憤った。同漁協の白滝治郎組合長は「長良川に出て、鮎を捕食するまで育つのが一番怖い。強い覚悟で関係者と対応する」と力を込めた。