鳥取県南部町では、夏休みが始まると、ザリガニ釣りが最盛期を迎えます。 多くの子どもたちに親しまれ、SDGsにもつながる人気の遊びが、これからはできなくなるかもしれません。
小学生「釣れた。オスだ!」
鳥取県南部町は、アメリカザリガニが多く生息するザリガニ天国です。
ザリガニ釣りは、南部町在住の自然観察指導員・桐原真希さんが、外来種であるアメリカザリガニを駆除することを目的に始めました。 子どもたちには、楽しく学べる体験として人気です。
小学生 「あ、いた、入ってる、入ってた!でっか!」
アメリカザリガニ。 全国各地の川や沼で見かけるようになりましたが、もともとは名前の通り、アメリカ・ミシシッピ川周辺原産の外来種です。
今では、タガメなど希少な水辺の生き物の保全保護を目的に、環境省が生息地域を広げないよう呼びかけています。 南部町では2009年から続くアメリカザリガニの駆除ですが、釣って終わりではありません。
自然観察指導員 桐原真希さん 「入れますよー、いいですか、跳ねるの気を付けて、跳ねたら熱いからね。」
そう、ザリガニを食べるところまでが、ザリガニ釣りのプログラムです。 寄生虫などが死滅するように7分~10分間、塩ゆでし、お好みの調味料をつけていただきます。
小学生 「ザリガニの味が美味しい。」 小学生 「エビに近くて、エビよりも美味しい。」
しかし、この人気の取り組みが続けられなくなるかもしれない事態となっています。 アメリカザリガニの「特定外来生物」指定に向けた検討が始まったのです。
土江 諒 記者 「仮に“特定外来生物”に指定された場合、環境省の許可なく捕まえたり飼育したりすると罰金などの刑罰の対象になる可能性があるのです。」
この報道を受け、桐原さんのもとには、今飼っているザリガニをどうしたら良いのかという問い合わせが寄せられているといいます。
自然観察指導員 桐原真希さん 「まだ環境省から正式な発表がない段階ですので、まずは今飼ってらっしゃるものを逃がさないようにちゃんと管理していただいて、ペットとして大事に育てていただければと思います。とにかく野外に逃がさないようにお願いしたいです。」
報道に驚いて放流してしまうと、その場所の生態系を壊してしまう可能性があります。
桐原さんは、環境省が今後ホームページ等で発信する正しい情報を確認して欲しいと話します。
自然観察指導員 桐原真希さん 「私自身ザリガニ釣りとか、ザリガニを見るのが大好きなので、ザリガニを通して生き物の楽しさだとか、あるいは問題とかを考えるきっかけづくりになってくれればと思う。」
昭和の子どもたちにとって定番だった遊び・アメリカザリガニ釣り。
平成、令和と時代が移るとともに、社会問題としてもクローズアップされ始めているだけに、夏休みの自由研究にするのも「あり」かもしれません。