2005年12月23日

丹生ダムの自然環境調査不十分 淀川水系流域委、5ダムへの意見書採択

 国土交通省近畿地方整備局の専門家会議「淀川水系流域委員会」は22日、同局が規模を縮小する方針を示した丹生ダム(滋賀県余呉町)について「最重要課題である堤防強化と流域対応の検討が欠けており、自然環境への影響の調査、検討が不十分」などとする意見書をまとめた。

 同局は7月に、淀川水系で計画中の5つのダムの方針を示した。意見書ではその根拠となった調査検討の内容を環境、治水、利水の各面から検証した。
 治水目的に特化する方針の丹生ダムに関しては、高時川、姉川に対する治水効果は認めたものの、琵琶湖周辺の洪水調整能力については「琵琶湖の水位上昇を抑える効果は2センチ程度にすぎず、きわめて限定的」と疑問を呈した。その上で、堤防強化や流域対応など「ダムに頼らない治水リスクの軽減の検討が欠けている」と指摘した。
 事実上の建設中止が提示された大戸川ダム(大津市)については、ダムに代わる今後の治水対策に触れ、「国の直轄化も視野に入れた関与が必要で、実効性のある対策を早急に示すべきだ」とした。
 事業を継続する天ケ瀬ダム(宇治市)の再開発に関しては、放流能力の増大による治水効果は大きいとした上で「環境を含めた視点からの再検討が必要」と注文をつけた。
 規模を縮小する川上ダム(三重県伊賀市)、事実上の建設中止となる余野川ダム(大阪府箕面市)についても調査検討の不備を指摘した。
 意見書はこの日、京都市左京区のみやこめっせで開かれた全体委員会で採択され、委員長の寺田武彦龍谷大法科大学院教授が「各委員の思いのこもった意見が、最大限に反映されるように要望する」と述べ、同局職員に手渡した。
 近畿地方整備局は、国交省が10月から審議を始めた河川整備基本方針の策定を受け、2、30年後の目標を提示する河川整備計画の原案を作成する。同局は「原案を作る上で反映できるものは反映していく」としている。
(京都新聞)

+Yahoo!ニュース-滋賀-京都新聞

Posted by jun at 2005年12月23日 18:33 in 内水面行政関連

mark-aa.jpg