鹿島台町のNPO法人「シナイモツゴ郷の会」は、地元のため池で行っていた希少淡水魚・ゼニタナゴの移転増殖に成功した。10日、同町で開く「シナイモツゴとヒシの集い」で発表する。移転増殖の成功はごくまれだ。
同会は昨年2月、ゼニタナゴの自生地である町内の桂沢ため池から、卵が生みつけられたドブガイ20個を別のため池に移し、手入れを続けた。その結果、これまでに最少でも1000匹の稚魚が確認された。移殖先のため池には食害魚はいない。
同会は多くのため池で、ゼニタナゴをはじめ、さまざまな生き物が共存する生態系の復元に取り組んでいる。
ゼニタナゴはコイ科で、成魚の体長は約8センチ。雌は秋に産卵管を伸ばし、ドブガイなど大型の貝に卵を産む。生息地は東北を中心に全国で20カ所ほどで、県内では数カ所とみられる。環境省と県のいずれの野生生物レッドデータブックでも絶滅危惧(きぐ)1類に分類されている。【小原博人】12月10日朝刊(毎日新聞)