2005年12月01日

支笏湖:動力船を原則禁止 自然破壊、騒音軽減へ−−中央環境審 /北海道

 環境相の諮問機関「中央環境審議会」は29日、支笏洞爺国立公園にある支笏湖(千歳市)で、プレジャーボートや水上バイクなど動力船の乗り入れを原則禁止する答申をまとめた。自然破壊や騒音を軽減する狙い。千歳市の観光資源になっている夏季のヒメマス釣りで動力船を使う時は環境相の許可が必要となる。来年2月の官報告示から適用される。無許可の乗り入れには6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。

 答申によると、自然公園法に基づく車両の乗り入れ規制対象地域を現行の樽前山一体(5609ヘクタール)から支笏湖の湖面全体(7876ヘクタール)にも広げる。手こぎボートや岸からの釣りは従来通り認める。
 具体的な許可基準は今後、環境省や千歳市などが協議して詰める。今のところ、来シーズンのヒメマス釣りは同市が希望者を募り、期間や隻数を調整。市の了承を得た船に限り、環境省が乗り入れを許可する見通しだ。
 支笏湖では、水上バイクが巻き起こす水流で絶滅が懸念されている水中植物チトセバイカモが打撃を受けたほか、ごみの投げ捨てによる環境悪化や利用者のマナーの悪さが指摘されていた。
 地元から「きれいで静かな湖を守りたい」と規制を求める声が強まり、同省は21日、規制対象区域の拡大を同審議会に諮問した。湖面の乗り入れ規制は道内では阿寒湖北部に次いで2番目。【田中泰義】
 ◇「まず第一歩」−−地元は歓迎
 「静かなたたずまいの支笏湖を目指したい」という地元住民らの要望に応えようと、千歳市は94年にプレジャーボート対策協議会を設置。支笏湖でのプレジャーボート利用のあり方について話し合いを進めてきた。
 同市観光振興課の二ツ川憲昭課長は「地元の要望がかない、ほっとしている。環境省や道とも連携し、適切に管理したい」と答申を歓迎した。
 動力船の問題では主に湖畔の旅館業者が被害を訴えていた。大きなエンジン音が騒音となるうえ、プレジャーボートの夜間利用者が湖側から湖畔の温泉旅館に侵入し、露天風呂に無銭入浴することもあった。
 支笏湖旅館組合の佐々木義朗さん(支笏湖丸駒温泉総支配人)は「これでまず第一歩は踏み出した。今後は行政に管理を任せるだけでなく、地元として何ができるかを考え、支笏湖の静かな環境を守っていきたい」と話した。【水戸健一】

(毎日新聞)

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Posted by DODGE at 2005年12月01日 11:10 in 内水面行政関連

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