2005年11月01日

世界湖沼会議:アフリカで初開催 県、琵琶湖研究の成果アピール/滋賀

 ◇持続的管理のあり方提言−−ケニア・ナイロビ、30カ国の研究者ら参加
 第11回世界湖沼会議が31日、ケニア・ナイロビで始まった。「湖沼流域の持続的管理に向けて:世界の経験とアフリカ大陸の課題」をテーマに、約30カ国の研究者や行政関係者、NGO(非政府組織)が参加。4日までの5日間、分科会形式での国際会議や現地視察が行われる。同会議は県の提唱で84年に始まり、アフリカ大陸では初開催。県からは「急激な人口増、エイズ、貧困といったアフリカの課題に世界がどう答えられるかが問われる会議」と位置づけ、国松善次知事らが出席する他、関係NGOも参加し研究成果を発表する。【森田真潮、服部正法】

 ■水環境の監視\n 県は(1)琵琶湖や流域の水環境監視のあり方(2)琵琶湖の漁業と水環境との関係(3)今年度新設した琵琶湖・環境科学研究センターのねらい――を発表する。
 水環境監視については、▽汚染源が特定工場などに限定されない「ノンポイント汚染」の測定を強め、通常時だけでなく降雨時も河川からの汚濁物流入量を把握する▽琵琶湖が各用水の水源にとどまらず生態系の重要な構成要素であることを考慮し、窒素やリンなど化学的指標に加え、魚類や植物、プランクトンなど生物の実態を長期的に観測する▽流域の土地利用の実態把握や、住民による水環境監視を進める――など、琵琶湖の事例から持続可能な湖沼管理のあり方を提言する。
 ■漁業と水環境
 漁業に関しては、山仲善彰・琵琶湖環境政策室長らが「年間漁獲高1万1000トン前後だった1960年代には、漁業により窒素201トン、リン10トンが琵琶湖から除去されていたが、漁獲高が約2500トンに落ちた近年では、除去効果は窒素64トン、リン5トンに下がっている」との試算を示し、漁業が環境に与える効果を説明する。また、琵琶湖の底をさらうシジミ漁が底泥の堆積(たいせき)を防ぐ効果を持ち、今後、より広範囲な住民らがかかわる湖の管理手法を考えるべきだとする基本姿勢を示す。
 また、持続可能な社会の形成についての研究を進めたり、琵琶湖の重点課題について集中的に研究・分析にあたる「総合解析室」などの機能も設けた県琵琶湖・環境科学研究センター(大津市柳が崎)の取り組みを、世界にアピールする。
 ■NGOも発表
 各国政府などの発表だけでなく、琵琶湖などで人の暮らしと水の関係について調査活動をしてきたNGO「水と文化研究会」(代表、嘉田由紀子・京都精華大教授)の小坂育子・事務局長も、1日の分科会で研究成果を披露。同会と京都精華大の学生の調査を基に、アフリカ・マラウイ湖周辺の村での安全な水の確保のための“歴史”について発表する。
 小坂さんによると、マラウイ湖に面したチェンベ村では、以前は湖の水を沸かして飲料水にするのが主流だったが、97年ごろに流行したコレラの原因が飲料水にあるとされ、支援組織が井戸を掘った。井戸水の使用は浸透してきたが、より収穫が期待できるトウモロコシの栽培が現地で始まっており、栽培のために使用される大量の化学肥料が井戸水に影響しないかが懸念されるという。水を巡る現地の人々の暮らしや意識の変遷、変わらないものについて言及する予定だ。11月1日朝刊(毎日新聞)

+Yahoo!ニュース-滋賀-毎日新聞

Posted by jun at 2005年11月01日 22:23 in 自然環境関連

mark-aa.jpg