2005年10月22日

世界28湖沼 対策まとめ 世界会議へILEC 流域を系統的に

 ケニアの首都ナイロビで31日開幕する「第11回世界湖沼会議」で、主催機関の国際湖沼環境委員会(ILEC)=本部・滋賀県草津市=が、琵琶湖をはじめ世界28湖沼の環境対策や効果について、課題ごとにまとめた報告書を発表する。湖沼の水質や生態系だけでなく、周辺の経済構造や法整備など流域全体の対策を集め、系統的にまとめた資料は世界に例がないという。

 湖沼環境を流域全体でとらえた水資源管理の在り方を探ろうと、開発途上国の環境保全を資金援助する国際組織GEF(地球環境ファシリティ)から委託を受けたILECが、世界57カ国にまたがる28湖沼の研究者約300人に流域一帯の調査を依頼した。ILEC科学委員で前琵琶湖研究所長の中村正久・滋賀大環境総合研究センター教授が各湖沼の報告を2年半がかりで比較し、英語版にまとめた。
 報告書は、湖沼を管理する各国の組織体制や資金調達の仕組み、水質浄化に向けた法整備、市民運動の現状など、共通課題ごとに各湖沼の取り組みを紹介している。
 法整備の項目では、世界的に珍しい日本の湖沼水質保全特別措置法(湖沼法)を挙げ、水質基準の目標数値を設定して対策を講じる手法を取り上げている。また、ドイツ、スイス、オーストリアの3カ国に面するボーデン湖では、多国間で利水計画や排水規制を協議するシステムがあることなども紹介している。
 中村教授は「琵琶湖では、粉せっけん運動など住民主体の活動が進んでいる面がある。一方で、複数国の管理システムは、流域が府県にまたがる琵琶湖の参考にもなる。各湖沼の成功例、失敗例を整理、紹介することで、各湖沼がさまざまな角度から効率的な水資源管理を検討できる」と、期待している。
 報告書は分科会で中村教授が発表し、現地で各国の研究者に配る。ILECの木下康雄事務局長は「琵琶湖の経験が、対策の遅れているアフリカ各国に生かされれば」と話しており、今後、開発途上国の行政関係者や若手研究者らにの環境教育にも活用していく。
(京都新聞)


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Posted by DODGE at 2005年10月22日 19:22 in 魚&水棲生物

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