理数教育を重点的に実施する「スーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)」として研究指定を受けている開邦高校で14日、「サイエンスダイアログ(科学の対話)」と題し、第一線で活躍する研究者による授業が開かれた。
日本学術振興会が招いた外国人特別研究員で、琉球大学農学部で亜熱帯動物学講座を開くニューカレドニア出身のル・ブレトン・ジュリアン博士が「太平洋の島々における侵略的アリ種の研究」について講義した。生徒たちは真剣な表情で聞き入り、積極的に質問していた。
ジュリアンさんは沖縄でもアフリカ原産のツヤオオズアリが見られることや、外から侵入したアリは一つの共同体の中に産卵能力がある「女王」がたくさんいる場合が多く、早く繁殖しやすいことなどを説明。原産は不明だが、アリに寄生する珍しいダニが沖縄にいることも紹介した。
ニューカレドニアでは外から入ったウイルスのため、主要な産物であるバナナの9割が被害を受けたことにも触れ、「目に見える生物だけでなく、侵入を防ぐのが難しい微生物のことも考えなければいけない」と語った。
琉大農学部の辻和希教授が、米国で「ファイヤーアント」と呼ばれるアリに刺され、死ぬ人も出ていることや、毒性を持つ外来種のアリが台湾や香港で広まっていることなどを補足して解説した。
生徒からは「外来種のアリが与える経済的な悪影響は何があるか」「外来種はすべて根絶すべきなのか」などの質問が上がり、ジュリアンさんは「農業への被害が大きい。根絶すべきかどうかは場合による。まず外来種を入れないよう予防することが大切」と答えた。
(琉球新報)