2005年08月19日

来季BASSバスマスターツアーは一体どうなる!?/PAA

paalogo.jpg PAA(Professional Anglers Association・BASSに参戦する選手を中心に結成した労働組合のような組織的企業)とESPN/BASSの間で長らくコンフリクトが続いているが、お互いの歩み寄りにより、解決の方向に向かっているようだ。事の発端は、ESPNが来季BASS CITGOバスマスターツアーのスケジュールを全11試合(+メジャー3試合)に増加させたことによってエントリーフィーを増額、そして比率の悪いペイバックにあった。当初発表されたペイバック率では、「上位入賞を果たしたアングラーはよくても、それ以外の大多数が低いペイバックと直面し、プロスポーツとして成立しにくい」とPAAが反論。エントリーフィーが100%ペイバックされたとしても、年間数千万ドルを超える賞金を捻出するためには、さらにスポンサーを獲得する必要がある。しかし現在のスポンサー数ではPAAが希望する方向性でツアーを運営、継続させるのは不可能。ESPN側がどこまでPAAの意向を取り入れてツアーを開幕するのかが焦点となる。噂では、PAAが独自にトーナメントを開催し、選手にツアーで消費したエントリーフィーや諸経費を少しでもペイバックさせるといった動きもあるという。果たして、巨大組織へと成長したESPN/ BASSの動向は!?

 インターネット上のバスフィッシング系掲示版やbasswaveのソースによると、2006年度バスマスターツアーの内容がPAAのプッシュにより、若干変更されるようだ。ここではPAAのオフィシャルサイトで発表されている内容をまとめてみたい。

 当初、PAAは来季ツアーについて話し合いたいとESPN/BASS側に申し立てていたが、バスマスター・クラシックの準備や運営などを理由にオフィシャルはミーティングを延期。8月15日、PAAの代表としてエグゼクティブ・ディレクターのジーン・エリソンをはじめ、ケビン・バンダム(社長)、マーク・デイビス(副社長)、マイク・オートン(幹事)などのオフィサー数名とESPN/BASSを代表しマーク・クエンゼル、ドン・ラックス、ディーン・ケッセル、ジョージ・マクニーリー、トリップ・ウェルドンなどがテーブルを囲んだ。
  大会オフィシャルは「一度発表した内容や方向性は変えられない」との理由でPAAの言い分を却下した状態にあったが、選手の中でオフィシャルの一方的な運営方法と悪条件なペイバックなどへのフラストレーションが溜まり、オフィシャルもPAAの申し出を聞かざるをえなくなった。ディスカッションされるべきポイントは5つ(エントリーフィー、ペイバック、参戦者数、試合数とオフィシャルからの賞金への譲歩)あったのだが、実際にPAAがオフィシャルと話し合える部分は、エントリーフィーとペイバックの2つと宣告された。
  
  では、変更(またはオフィシャルから提示)された部分をふれておきたい。
  まず、バスマスターツアー全11戦をElite Series(エリート・シリーズ)と改名。メジャーについては、大会自体にタイトルが付けられているため、そのまま使用するようだ。
  Eliteシリーズの参戦者数は当初の200名から100名に、メジャーは50名の定員に縮小する方向で調整中。エントリーフィーは3000ドルであったが、これが5000ドルに跳ね上がる可能性を秘めている(PAAはオフィシャルからエントリーフィーのオプションとして、3000ドル、3800ドル、5000ドルの3つを提示された模様)。ペイアウトについては、50位にまで1万ドルが賞与される(Wal-Mart FLW TOURと同じ)。
  また現在オープン戦は4つの地区戦に分かれて開催され、各地区で全3戦を行なっているが、これが2地区戦制度になり、全6試合ずつになる予定。
  Eliteシリーズでアングラーは自らのボートを最初の3日間使用し(最終日はオフィシャルボートを使用)、メジャーイベントでは4日間を通してマイボートから競技する。
  
  さて、上記の内容は確定ではないにしろ、あまりにも当初発表されたものと異なるため、このニュースを聞きつけた選手は驚いていることだろう。たとえば、参戦者数が200名から100名になった場合、来季Eliteシリーズに“確実に出場できる枠”に入っている選手は、上位50名程度だろう。つまり、昨シーズン総合100位以下でフィニッシュした選手は微妙なラインに立っている。現在開催されているオープン戦からの“昇格分”もあるため、実際に100名しか出場できないと決定したなら、多くの選手から不満の声が上るだろう。Eliteシリーズは2月に開幕するわけで、それまでにどのようにクオリファイアーを決定するのだろうか。
  賞金については、エントリーフィー然りな要素が強くなりそうだが、仮にフィーが5000ドルになった場合、選手は全11試合で5万5000ドルを支払わなければならず、さらに諸経費が数万ドル加算される。したがって、資金力のあるアングラーが幅を利かせるシーズンになりかねない。
  しかも、1試合の優勝賞金は前年度と同じく10万ドルと低い(これは50位までのグッド・ペイアウトを優先させたため)。問題は2位以下の賞金で、2位が3万ドル、5位が1万5000ドル、11位が1万2500ドルと1位と2位以下には大きな差が生じている。
  3つのメジャーイベントは“ノー・エントリーフィー”の試合だが、このシリーズでも賞金面で問題が持ち上がっている。優勝は25万ドルと巨額、25位で1万ドル、とここまではいい。しかし、26位以下は賞金がゼロあのだ! いくらノー・エントリーフィーとはいえ、26位がゼロでは選手も面白くないだろう。メジャーでもウイナーだけがいい思いをする賞金構成を取っている。
  賞金やペイバックについてはPAAの意見も今後取り入れられるため、その後の展開を引き続きチェックしていきたい。
  
  そして兼ねてから噂されていたPAA主催のトーナメントだが、これについてオフィシャル側は強い姿勢を見せている。ESPNのプロダクション部副社長のマーク・クエンゼルはこのミーティングに参加したPAAを“選手の代理人的存在”として黙認したが、「もし(噂されているようなPAA主催の)トーナメントを開催するようなことが起これば、君たちはBASSのコンペティター(競争相手・企業)になるわけで、私はESPNのビジネス利害を守らなければならない。脅しているわけではないが、自由に解釈してもらってかまわない」と強気な見解を述べている。
  
  近日中にPAAとESPN側が答えを発表するという。その内容によっては、BASSを離れ、FLWに移行するアングラーも出てくるだろう。ここに提示された内容はどこまで最終決定になるのだろうか……今後の動向に注目が集まる。

+PAA

Posted by DODGE at 2005年08月19日 17:18 in 海外トーナメント:BASS, 海外フィッシング事情

mark-aa.jpg