2005年05月18日

環境省が「釣り大会開催時の注意点」を公式HPに掲載/環境省

 今年6月から施行される予定の「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(略して「特定外来生物被害防止法」あるいは「外来生物法」とも表記される)を所管する環境省の公式HP上に、「釣り大会開催時の注意点」をアップした。

 これは特定外来生物の取り扱いに関するQ&A「こんな時はどうしたらいいの?」の中で発表されているもので、これまでにも『特定外来生物を釣ることはできるの?』という質問に対して『特定外来生物に指定されていても釣りをすることはできます』という回答が掲載され、『禁止されることは、立てば釣った魚を持って帰って飼うこと、移動させて放流することです。』と明記されていた。さらに、『釣った特定外来生物をその場で放す「キャッチアンドリリース」は問題ありません。』と記されていたが、これに加えて掲載されたのがトーナメント(釣り大会)に関する記述だ。
 バスのトーナメントの場合、釣った魚をボートのライブウェルに入れたり、岸釣り大会などでは袋に入れたりして移動するケースが多い。ところが、キャッチアンドリリースに関する具体的な記載はなく、どこまでが「移動」にあたるかという明確なガイドラインは示されていなかった。このため、「釣った魚を手に持って一歩でも歩けば移動になるのか?」という疑問をもっていたアングラーもいたようだ。
 この発表はこれらのガイドラインという形で掲載されており、これによると『特定外来生物(特にオオクチバス)の釣り大会については、外来生物法施行後も引き続き行うことができます』とされている。
 まずは、次の3点が『問題ない行為』として掲載されている。

●問題ない行為
 釣った河川・河岸・湖岸に隣接する道路に至らない範囲での生きたオオクチバスの運び移しは問題ありません(河岸・湖岸隣接道路に至らなければ、公園、マリーナ、漁港(漁港内の道路は漁港の一部と考えます)等での取り扱いも同様です)。
 釣った河川・湖沼に戻すか殺処分することが明らかな状況で、数時間生きたオオクチバスを取り扱うことは問題ありません。
 釣り人が、大会主催者に検量のためにオオクチバスを一旦預け、検量後直ちに返却してもらうなど、当該釣り人が当該特定外来生物の「事実上の支配」を継続していると認められる場合は問題ありません。

 これによると、現在行われている一般的なトーナメントにおいては、問題なく継続することができると解釈できる。ただし、「都道府県によっては、条例により外来生物のキャッチアンドリリースを禁止している場合もありますので、ご注意ください」と記されているとおり、条例や漁業法に基づいた漁場管理委員会指示などで定められた各自治体のルールは遵守しなくてはならない。
 また、『外来生物法に違反するため対応が必要な行為』に関して、下記のようなケースが法に触れるとして、その対応が記されている。

●釣り大会で釣ったオオクチバスを、釣り大会後もリリースせず、生きたまま取り扱う
 →釣ったオオクチバスは、釣り大会終了時までにリリースするか、殺処分する 
●釣ったオオクチバスを、生きたまま釣った河川・湖沼以外の河川・湖沼に運び移す
●釣ったオオクチバスを、釣った河川・湖沼に隣接する湖沼周回道路等を経て検量所に生きたまま運び移す
 →釣ったオオクチバスを生きたまま運び移す場合は、釣ったのと同一湖沼若しくは釣ったのと同一性・一体性のある河川水域又はそれぞれに隣接する陸地の範囲で行う
●釣り大会を、複数の湖沼や、河川の一定水域と言えない範囲で開催し、当該開催地内で釣ったオオクチバスを生きたまま運び移す
 →釣り大会の開催は、同一湖沼又は河川の一定水域に限って行う
●釣ったオオクチバスを、生きたまま釣った河川・湖沼以外の河川・湖沼で放つ
 →キャッチアンドリリースは、釣ったのと釣ったのと同一湖沼若しくは釣ったのと同一性・一体性のある河川水域又はそれぞれに隣接する陸地から行う
●検量のため、生きたオオクチバスを他者に引き渡す(例:釣ったオオクチバスを大会主催者が検量するために、釣り人が長時間当該オオクチバスを大会主催者に預ける)
 →検量は、釣り人自ら行うか、釣り人の「事実上の支配」を維持した上で大会主催者が行う
●検量されたオオクチバスを、大会主催者(釣り人以外)が釣った河川・湖沼に放つ
 →キャッチアンドリリースは、釣り人自ら行う

 ここで注意したいのは、たとえば釣った魚をクーラーボックスなどに入れ、自動車などで移動して検量所に向かうという形式の大会などは違法になるということ。ただし、湖に隣接した公園などのスペースにおいて、徒歩などによって行われる大会であれば問題ないといえる。ただし、どのような形式であれ自分が釣った魚のリリースは大会主催者ではなく、自分自身で行わなければならないということを理解しておきたい。
 これまで、トーナメントが今回の外来生物法においてどのように判断されるのかと不安に感じていた人々も多かったようだが、このガイドラインによればほとんどの場合において、これまでどおりのトーナメントが楽しめると考えていいだろう。
 普段からトーナメントを楽しんでいる方々はガイドラインをしっかりと理解し、外来生物法ならびに各自治体のルールをしっかりと守ったうえで、これからも楽しんでいただきたい。
 
+環境省
+環境省・外来生物法のQ&Aページ

Posted by jun at 2005年05月18日 16:41 in ブラックバス問題

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